人と会社・企業

真のワークライフバランスで生産性を3倍高めましょう

難しいワーク・ライフ・バランス

内閣府のワーク・ライフ・バランス憲章では、『誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければならない。』とあります。

これは、一般の方には少々難しく感じられるかもしれません。

結局ワークライフバランスとは

私の会社では、ワーク・ライフ・バランス(WLB)とは、『働く社員さん(パートさんも含む)が仕事を通じて幸せを感じられる人生をおくることと、企業業績向上の両立を実現する取り組みである』として結論付けています。

仕事を通じての幸せとは、「人に褒められ、必要とされ、役に立つ」が実感できることです。

それにより、やりがいと充実感が得られ、自己実現が図れるのです。

ワーク・ライフ・バランスの問題点とは

ワーク・ライフ・バランスの最も大きな問題点は、言葉が与えるイメージばかりが先行し、休日や有給休暇、産休、育休、給料等の充実といった制度的な取り組みが脚光を浴びる点にあります。

数々の企業支援を繰り返してきた経験から申し上げたいことは、以下の2点です。

○会社から与える制度の充実だけでは社員さんを幸せにすることは決してできない
○制度の活用が当たり前になると、社員さんのモチベーションと組織の生産性は下がっていく

例えば、国や会社から与えられた制度の代表と言っても良い「週休2日制」ですが、「幸せだ」と感じたり、「ありがたい」と感謝したりしている人はどれだけいるのでしょうか?

おそらくごくわずかでしょう。土日休むことが当たり前になってしまうとモチベーションも生産性もあがらないのです。

週休2日制度はとても素晴らしいのに、それを活用できる国の風土や会社の社風がないのです。

これが現実なのですが、そこに最大のヒントがあります。

それは、制度を活用する事に対して「幸せだ」「ありがたい」と誰もが感じられるようにすることです。

それにより、モチベーションや人への貢献意欲が高まり、社風が良くなり、個人の仕事も組織の仕事も生産性があがっていきます。

制度を活用して会社の生産性があがり、みなさんの幸せのレベルもあがることが「あるべき姿」なのです。

4つの事例から

以下、事例を簡単に紹介します。
4つの事例から、みなさんはどの会社で働くことを望みますか?

A社
A社はワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業として世間に名前が知られていました。
社員さんの給料も良く、有休もある程度自由に消化でき、育児休業も介護休業も充実している等、制度面では申し分ない内容です。
ところが、肝心の働いている社員さんの表情が明るくないのです。
話をうかがうと前向きな感想を述べてくれる社員さんが実に少ないことに驚きました。
社員さんがやりがいのある仕事ができていないこと、制度を活用することが「当然の権利」になっていること等で、社員さんの本質的なモチベーション向上に繋がっていないのです。

B社
B社は年間休日が90日もありません。
ところが離職率が大変低く、社員さんはもちろん、パートさんが輝くばかりの笑顔で接してくれる企業です。
大勢の女性が活躍し、パートさんでも責任のある仕事をしています。
特徴的なのは、相手を尊重し、相手のいいところを見つけて「ありがとう」の感謝の気持ちを伝える社風になっています。
スタッフさんにヒアリングをすると「人のいいところ見つけるのが楽しい」「とてもやりがいがある」「いつも私たちのことを考えてくれてありがたい」という答えが返ってきます。

C社
C社は年間休日140日、年間の労働時間が日本一短く、近年ではパールホワイト企業として有名です。
社員さんにヒアリングをすると「自分の提案が職場環境や仕事の質を高めたという自負がやる気に繋がる」「仕事は大変だけど楽しい」「ここまで休めるようになったのは自分たちが業務改善と効率アップを進めてきたから」「楽をすればどこまでも楽ができるけれどそれでは面白くないし、仲間に認められない」等の言葉が聞かれます。
制度が機能する風土を自分たちでつくってきたことが成功要因です。
これだけ休みがありながら、休みに対する感謝の気持ちが常にあります。この会社はその地域において週休2日制度をはじめて取り入れました。その時に相当の苦労があったことでお休みへの感謝の気持ちが社風となっているのです。

D社
この会社は365日24時間営業でありながら有給取得率が100%を超える数字を誇っています。
さらに、過去最高益を2年連続で更新しました。社員さんの仲がとても良く、かつ、自分自身に厳しさを持っている社風です。
会社の仲間を認め合い、尊重し、かつ、負けたくないという気持ちがあふれています。
社員さんにヒアリングをすると「この会社にいることを誇りに思います」「自分が休めるのは仲間ががんばってくれたから」「大切な仲間に迷惑をかけたくない」「みんなががんばってくれたから今がある」等の言葉が聞かれます。

これらの現実は、働きがい・やりがいを得るのに重要な要素が「会社から制度が与えられるだけでは難しい」という証左です。

やりがい、働きがいは当事者意識の強さと比例する

仕事のやりがい・働きがいは、「当事者意識」の強さと比例します。

「当事者意識」とは、仕事を提供する相手の立場になって、相手の喜ぶことを自分事で考えられる意識です。

その積み重ねにより自己実現欲求が満たされるのです。

自己実現欲求は働く人の内面から出てくるものであり、会社がいくら制度を整えても限界があります。

つまり、「人ごと」「やらされ」「指示待ち」の人が目立つ会社において、休日や給料、有給休暇の消化等の制度のみをいくら推進しても機能しないのです。

制度を活用した社員さんのモチベーションや生産性があがっていますか?

例えば、有給休暇制度において、取得率自体は意識が変わるだけでどの企業もある程度向上していきます。

なぜなら、その要因はそれまでの思考の癖・先入観、社風に邪魔されていることが多いからです。

それらを取り除けば有給休暇取得率はある程度まで上がりますが、大切なのはそこからです。

真の評価は、有給休暇を取得した社員さんのモチベーションが高まり、知恵を出したり、カイゼンしたりする等のより良い働き方ができているかなのです。

そもそもすべての制度は働く人が幸せになるために存在しますが、果たしてそうなっているかどうか常にチェックすることが重要です。

大切なのは目的を明確にすることと、制度が機能する組織風土を社員さんが一丸となってつくること

ワーク・ライフ・バランスの推進においてまず大切なのは、「そもそも何のために推進するのか」という目的を明確にすることです。

それは「働く」ことと「人生」の本質を見直すことなのです。

これは働き方改革にも通じます。

そして、制度が機能する組織風土を社員さんが一丸となって構築することです。

制度が機能する組織風土とは、制度が活用されることで働く人のモチベーションが上がり、会社の生産性も上がることが日常となっている状態のことを指します。

制度が機能しない組織風土とは、せっかく有給休暇制度があっても「使わない」或いは「使えない」状態になっていたり、使ってもありがたみや喜びが感じられなかったり、生産性が高まらなかったりする状態のことを指します。

その原因は、ひとり一人に沸き上がる無意識の習慣・思考の癖から脱することができない社風にあります。

極めてシンプルに申し上げれば、「ありがとう」という言葉が行き交う社風ができれば制度が機能します。

人を尊重し、人に感謝することは人を思いやれる当事者としての意識があるからこそできることなのです。

当事者意識を持った社員さんの働きは、通常の3倍です。

これは、伊那食品工業の塚越会長や未来工業の山田相談役といった「人を大切にする経営」を実践されている経営者がおっしゃっています。

我が国では経常利益率が5%あれば優良企業です。

伊那食品さんや未来工業さんは15%以上ですから、単純に通常の会社の3倍以上(優良企業の3倍)というのもうなずけます。

ぜひみなさんも真のワーク・ライフ・バランスを進めて3倍の生産性を実現しましょう。

今日は入口部分のお話をしました。

続きは別の機会にご紹介いたします。

大丈夫でいきましょう!

伊那食品工業井上修社長と富田哲弥
伊那食品工業井上修社長と富田哲弥(右)
未来工業山田雅裕社長と富田哲弥(左)
未来工業山田雅裕社長と富田哲弥(左)

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