人と会社・企業

人事考課・評価は何のために?モチベーションブレーカーではいけない

多くの会社で評価制度が機能していないのはなぜ?

評価される側である部下・後輩は、常に公正・公平な評価を求めています。

しかしながら、多くの会社でそれは実現できていません。

なぜなら、人を評価するということはとても難しいからです。

人にはそもそもいい部分(魅力)と問題点(欠点)が存在するからであり、評価者・考課者にも同じことが言えます。

それゆえ、人事考課や評価にはどうしても誤差が生じやすいのです。

その誤差が部下・後輩にとって不平・不満となってしまいます。

だから、評価制度が機能しなくなってしまうのです。

以前(2012年9月)、あなたのリーダーはモチベーションブレーカー?という記事をアップしております。

こちらも参考としていただければ幸いです。

今回の記事はその続編といってもいいでしょう。

リーダーの評価の誤差とは

誤差には以下の代表的なものが知られています。

わかりやすく示したいと思います。

ポイントは、人は誰でもそうなってしまう可能性があるということです。

ハロー効果
ハローとは「光輪」のことです。人のある行動や特徴について、評価者・考課者が良い印象を受けると、その人の他のすべての特徴も現実よりも高く評価する傾向にある現象のことです。後光効果、光背効果とも言います。人だけでなく、商品やお店、ブランドにもよくありますね。
※逆のハロー効果
ハロー効果とは全く反対で、ある人の行動や特徴について評価者が悪い印象を受けると、他の全ての行動も現実よりも悪く評価する現象です。中小企業では、このような状況になっているケースが目立ちます。

論理的誤差
評価者が論理的に考えすぎ、本来ならば独立している評価項目でも関連させて評価してしまう傾向のことを指します。ハロー効果と似ていますが、論理的に結びつけるところに特徴があります。例えば「彼は有名大学出身だから、仕事ができるだろう」といったものがそうです。有名大学出身と仕事ができることは全く別です。必ずしも学歴は関係ありません。

寛大化傾向
好き嫌いで人を評価してはいけませんが、自分が気に入っている部下に関してはいい評価をつけてしまうことが起こりえます。また、評価者が詳しくない分野において気に入っている部下が詳しい場合は、さらにいい評価になる傾向があります。また、大学や出身地が同じでも起こりやすいです。

厳格化傾向
寛大化傾向の逆で、全体的に評価が厳しくなる傾向をいいます。また、評価者がその分野に精通している場合は、どうしても他の人のことを厳しく見てしまう傾向にあります。例えば、評価者がその部下のことをあまり気に入っていなくて、なおかつ評価者の得意分野での評価の場合は、極めて厳しい評価がなされてしまうケースがあります。

中心化傾向
例えば5段階評価では真ん中の3ばかりを選んでしまうことです。評価者がそもそも何のために評価をするのか目的を見失っていたり、自信がなかったり、事なかれ主義に走ってしまったり、評価の基準が明確でなかったりするケースでも起こりえます。また、部下へのやさしさから差が生じなくなるケースも起こりえますが、本来の評価の目的を明確にするべきです。

対比誤差
絶対的な基準が評価者自身であり、評価者の得意不得意によって過大あるいは過小評価をしてしまうことです。 概して、自分ができないことができる人にはいい評価を、自分の専門的な分野の評価に関しては厳しい評価をする傾向にあります。例えば、評価者が営業のプロフェッショナルならば、同じ営業をする部下・後輩の評価を厳しくする傾向があります。対比誤差は、逆も起こりえます。

近接誤差
時間的な誤差のことです。例えば、1年近く前のことと最近のことでは同じことでも最近の方がインパクトが大きいため、本来は同じ評価を与えなければならなくても最近の方が評価が良くなる傾向のことです。また対比誤差と相まって逆もあり得ます。以前の自分のした仕事が絶対的な価値になってしまうと、部下・後輩は何をやっても評価されないケースがあります。

これらを踏まえた上で実際の人事考課の現場や評価する際に活用していただければと願っております。

しかしながら、現実的にはとても難しいことも理解しています。

なぜなら、これらが評価者たるリーダーのこれまでの思考の癖・習慣・常識である可能性が高いからです。

それは無意識のうちにでてきてしまうのです。

だから、多くの場合、人事評価は機能していないのです。

では、どうすればいいのでしょうか?

無意識の習慣を見直すためには、どうしたらいいでしょうか?

まずは、そもそも評価自体が一体何のために行うのかという目的を明確にすることが大切です。

それは、給料を決めるためでしょうか?

それは、人の優劣を付けるためでしょうか?

それは、部下・後輩のモチベーションを下げるためでしょうか?

どれもあてはまらないはずです。

そもそもの評価の目的は次の通りです。

そもそも評価とは、評価される側の本質的なモチベーションを高めるために行うもの。

なぜなら、そもそものリーダーには、以下のような最も大切な仕事があるからです。

そもそもリーダーの最も大切な仕事とは、部下・後輩の本質的なモチベーションを高めることである。

そのために評価という手段を活用すべきなのです。

だからリーダーは、常にいい評価者であるべきなのです。評価する側(考課者)は、評価される側のモチベーションマネージャーで常にあるべきなのです。

前述したとおり、人が人を正しく評価することはとても難しいです

評価する側にも問題点があるからです。

そもそも、完璧な人間でない人がどうして人を正しく評価することができるでしょうか?

だからこそ、リーダーは本質を忘れずに、常にいい評価者・考課者であることが求められるのです。

それは、どんな評価をしようと、最終的に部下・後輩のモチベーションを高めることに繋げると言うことです。

ここは常に意識しなければならない大切なポイントです。

しかし、評価者がモチベーションブレーカーになってしまっているケースも少なくありません。

ところが、多くの会社で問題点だけを指摘して部下・後輩のモチベーションを下げてしまう評価が行われています。

これは上記の「逆のハロー効果」になりますが、人は一度何かしらの評価を与えてしまうと(されてしまうと)、そこからなかなか抜け出せません。

その評価がマイナスだった場合は大変です。

そのように評価されてしまった部下・後輩がその後いくらいいことをしていても、いくらがんばっても認められなくなってしまうからです。

それが積み重なると、評価される側はモチベーションが大きく下がります。

すると「やはり彼は○○だった」とさらに悪い評価を確定付けてしまうのです。

こうした評価者がモチベーションブレーカーになってしまうケースは案外多いのです。

また、評価者自身がモチベーションブレーカーになっていることに気がつかないケースも多いのです。

だから、リーダーたる評価者は常に公平公正な視点に立ち返ること、つまり「色メガネ」を取る作業が必要となります。そして、いいリーダーは、いい評価のために、常に部下・後輩の情報を上書き保存しています。

どんな人でもいい所は必ずあります。

その長所を見てあげることです。

見ようとすれば必ず見えてきます。

その目を養う努力をしましょう。

そもそも人は、「人から褒められ、必要とされ、役に立っている事が実感できた時」にやりがいを感じます。

ですから、リーダーは時に部下・後輩に対して「褒めて、必要として、役に立っている事を伝える」ことがとても大切になります。

そして、いいリーダーは、部下・後輩の本質的なモチベーションを高めるために、常に部下・後輩の情報を上書き保存をしています。

このようなことがリーダーには求められます。

人を変えることは極めて難しいですが、自分を変えることは意識次第で確実に実行できます。

そして、リーダー(評価者・考課者)は、評価される部下・後輩のモチベーションアップを図ることを目的として評価という手段を活用するべきなのです。

すべての企業でこのようなモチベーションマネージャーが求められていると思います。

いい点はより良く、問題点は自ら率先して見つけカイゼンできるようにする部下・後輩を育成するのです。

リーダーは、部下・後輩への評価を通じて、いかに気付かせることができるかがカギなのです。

「そもそも人を正しく評価することなぞできない」という考え方が「人を大切にするいい会社」に共通してあります。

人は自らのいい点をさらに伸ばし、問題点は率先してカイゼンすることが大切です(自らPDCAサイクルを回す)。

やがて人はより良く変わっていきます。会社もより良く変わっていきます。

そして、社員さんが率先してそのようなことに取り組むことが社風となっている会社は、実は年功序列制度が機能します。

人を大切にする会社では年功序列制度が機能しているケースも多いのです。

それに加えて、やればやっただけの加点評価も機能します。

例えば、未来工業さんの提案制度が当てはまります。

未来工業さんの提案制度は、何を書いても1件につき500円もらえるのです(参加賞のようなもの)。

提案制度を書く材料は日頃の仕事の問題点です。

問題点を率先して見つけ、カイゼン案まで書いたものを提出するのです。

書けば書いただけ会社から評価されるのです。

また、何を書いても批判されることはありません。

批判厳禁なのです。

提案制度を同じように行っている会社でも、質を求めてしまうあまり、思わず提案を否定してしまうケースが多いですが、そうしてしまうと提案自体が出てこなくなるのです。

どんな人でも否定されたら提案なんかしたくなくなるのです。

そして、そもそも圧倒的な量の中から素晴らしいアイディア(質)が出てきます。

はじめから質を求めてもいいアイディアは出てこないものなのです。

さあ、リーダーは評価を通じて社員さんの本質的なモチベーションを上げていきましょう。

それがリーダーの最も大切な仕事です。

大丈夫でいきましょう!

リーダーの最も大切な仕事は、部下・後輩の本質的なモチベーションを高めること。中小企業診断士 富田哲弥。

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