人と会社・企業

賃上げ企業87.8%と過去最高に・・・しかし調査対象は100人以上の企業ゆえに

2017年の賃金引き上げに関する実態調査(厚生労働省)

2017年も残すところ1ヶ月あまりです。

気になる給料の情報が日本経済新聞から出てきましたのでご紹介いたします。

2017年、賃上げをした企業の割合が87.8%と過去最高を記録したと言うことでした。

以下、引用いたします。

厚生労働省は29日、2017年の賃金引き上げに関する実態調査の結果を発表した。
定期昇給やベースアップ(ベア)などで賃上げをした企業の割合は前年より1.1ポイント増の87.8%。
1人あたりの月額賃金の引き上げ額は451円増の5627円となり、いずれも比較可能な1999年以降で過去最高を更新した。
調査は今年8月、従業員数100人以上の企業を対象に実施した。
1606社の内容を集計した。
賃金を引き下げた企業は0.2%にとどまった。
引き上げ額を産業別にみると、建設業が最も高く8411円。
不動産業・物品賃貸業が6341円、情報通信業が6269円と続いた。
賃金改定で最も重視した点については「企業の業績」が55%で最多。
「労働力の確保・定着」が8.7%で続いた。
好調な企業業績や人手不足が賃上げの追い風となった(日本経済新聞 2017年11月30日)。

この結果自体は、とてもうれしいです。

この調査結果だけを見たら、景気回復を疑う人はいないでしょう。

しかし、今回の調査は従業員数が100名以上の企業1606社が対象であるため留意すべきです。

この結果を基に国の政策を決められたら大変危険です。

どうか、この調査結果だけで判断しないでくださいと切に願います。

なぜなら、国民全体の調査結果とは言えないからです。

中小企業支援の現場目線で言ったら、まだとてもじゃないですが「景気は確実に回復し、賃上げも実行されそうだ。良かった、良かった。」とはならないのです。

中小企業で働く方々の賃金については、先日も気になるNEWSをご紹介したばかりです。

2017年冬のボーナスは支給しない中小企業が4割を超す(大阪)

そのため、いつものように反対から見ないと中小企業の実体はわかりません。

あとは、実際に中小企業の社長と社員さんに日々接している私の実感が頼りです。

そこから見解を述べたいと思います。

では反対側(中小企業の目線)から見てみましょう

物事は常に複数の要素を持っています。

今回の調査は100名以上の企業1606社が対象です。

これは一体どれほどの規模の企業でしょうか。

中小企業の定義というものがあります(中小企業庁より)。

以下を参考としてください。

中小企業の定義
製造業:資本金3億円以下又は従業者数300人以下
卸売業:資本金1億円以下又は従業者数100人以下
小売業:資本金5千万円以下又は従業者数50人以下
サービス業:資本金5千万円以下又は従業者数100人以下

そして、もう一つの定説をご紹介いたします。

中小企業は、我が国の企業のうち99.7%を占める。
従業者数においても約7割占める。

国民の幸せとは、中小企業で働く方々の幸せであると言っても過言ではありません。

なお、中小企業(製造業)の付加価値額は5割以上です。

中小企業の定義
(出典:2016年度中小企業白書)

今回の調査結果は、従業員数100名以上の企業のものですから、多くが中小企業の定義に該当しない会社、つまり大手企業のものであると言えそうです。

今回の調査において、それらの正確な数字までは把握することはできませんが、仮に中小企業の定義に該当する企業があったとしても、限りなく大手企業に近い中小企業であるということがうかがえます(と言ってもほとんどが中小企業の定義に該当しない企業だと思います。)。

我が国の企業数のわずか0.3%、3割の人たちが所属する大手企業の結果では、国民全体の調査結果とは言えないと思います。

だから、政策を決める際には注意して欲しいのです。

反対に、我が国の企業数の99.7%、働く人の約7割の方々の賃上げについての調査結果については、希望的観測になってしまいますが今後局地的に出てくると思います。

これは、中小企業の数が多いため仕方がないことですが、地域の情報の一つ一つに注意しなければ実体は見えてきません。

できれば全国的な調査結果が出てくることを期待したいです。

まとめるのは大変なのはわかっていますが、何卒お願いしたいと思います。

来春の賃上げの情報も出てきました

なお、来春の賃上げの情報についても日本経済新聞から出てきました。

以下ご紹介いたします。

連合は5日、東京都内で中央委員会を開き、2018年の春季労使交渉において、基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)で2%程度を経営側に要求する方針を正式に決めた。
ベアの要求は5年連続。
年齢などに応じて上がる定期昇給(定昇)分と合わせ、4%程度の賃上げを求める。
大企業との格差是正に向け、中小企業にも積極的な賃上げを求める。
連合方針は賞与などの一時金よりも、月例賃金の引き上げを重視する。
中小企業の従業員や非正規労働者の処遇改善に向け、「大手追従からの転換」「付加価値の適正分配」の流れを前進させると明記した。
中小労組は大手との格差是正を含め、1万500円を目安に賃上げを求める。傘下の産業別労組は連合方針をベースに要求を策定する。
連合がベアで2%程度、定昇込みで4%程度を求めるのは3年連続となる。ただ17年の春季労使交渉の結果は定昇込みで1.98%。4年ぶりに2%を割り込んでおり、来年も厳しい交渉になることは必至だ。
春季労使交渉を巡っては、安倍晋三首相が10月下旬の経済財政諮問会議で3%の賃上げを経済界に要請。経団連はこれに応じ、収益が改善する企業には3%の賃上げを呼びかける方針だ(日本経済新聞 2017年12月5日)。

また、上記の記事を受けて、デフレ経済や賃上げについて日本経済新聞より以下のような解説がありました。

2012年12月から続く景気回復は9月で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さになった。
政府がデフレ脱却の目安とする消費者物価指数(CPI)や単位労働コストなど4つの指標はそろってプラス圏に浮上した。
日本経済の長年の懸案だった脱デフレはもう目の前。
最後の一押しができるかどうかは、18年の春季労使交渉で決まる企業の賃上げにかかっている。
日経平均株価がバブル期以来26年ぶりの水準へ上がり、企業業績は過去最高を更新する。
にもかかわらず企業は賃上げに慎重な姿勢を崩さず、企業収益を起点に賃上げや個人消費に結びつく好循環は滞り気味だ。
景気回復の実感もなかなか広がらない。
連合が昨年の要望と同じベースアップ(ベア)2%程度、定期昇給と合わせて4%程度の賃上げを求めるのは自然な流れだ(日本経済新聞 2017年12月5日)。

みなさんはどのように感じられるでしょうか

まず、景気回復は2017年9月で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さになったということですが、働かれている多くの方が実感していないものと思われます。

これは格差の裏返しだと思いますが、株を購入されている方等は実際に恩恵を受けることで実感があったことでしょう。

しかし、国民の多くが株を買うことはありません。

また、来春の賃上げによって脱デフレが実現できればこんなに素晴らしいことはありません。

ぜひ、デフレ経済から脱却して欲しいと願わずにはいられませんが、祈りに近い想いです。

なぜなら、「脱デフレが目前だ」という実感は中小企業支援の現場からは全く感じられないからです。

未だに大手企業を中心とした「いいものを安く」が横行し、協力会社の経営は忙しいけれど儲かっていないという状態が続いているからです。

さらに、先日ご紹介した人手不足も極めて深刻です。

忙しいけれど思ったより儲かっていない中小企業が多い実感なのです。

冬ボーナス、街角景気、有効求人倍率を企業支援目線で見る(静岡)

政治を司る方々にお願いしたいのは、大手企業が牽引する「いいものを安く」のビジネスモデルが続いている以上は脱デフレはもちろんのこと、中小企業全体の賃上げは難しいと言うことです。

すなわち、我が国は未だデフレ経済のまっただ中にあるということです。

100円ショップがせめて150円なり200円ショップになれば違ってくると思います。

ぜひ今後も中小企業の動向に着目していただきたいと願っております。

中小企業支援の目線で申し上げます

中小企業は、一刻も早く有効供給ができる体勢を整え、需要創造型企業になっていきましょう。

その中心にいるのは『人財』です。

人を大切にする経営を実践し、価格競争から脱する経営を実現していくことが命題です。

なお、昨日紹介した『静岡発 人を大切にするいい会社見つけました』には、価格競争をせず、人財が活躍する会社が紹介されています。

いい会社にしていくために・・・『人を大切に~』が第2位にランクイン

もしよろしければ、ぜひ参考になさってください。

人も、会社もより良く変われます。

大丈夫でいきましょう!

物事は両面でみないと正しい判断はできない

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