人と会社・企業

JALに3億8000万円の振り込め詐欺

被害総額は3億8,000万円

先ほど驚きのNEWSが飛び込んできました。

なんと、日本航空が振り込め詐欺にあい、3億8,000万円の被害に遭ったということです。

以下、TBSのNEWSを紹介します。

日本航空が、合わせて3億8000万円の振り込め詐欺の被害にあいました。
日本航空によりますと、今年9月、航空機のリース代およそ3億6000万円を支払い先の担当者になりすました人がメールで送ってきた偽の請求書にもとづき、香港の不正な銀行口座に振り込みました。
送金した財務部門の担当者は、「航空機のリースを止められる可能性もあり、確認の前に支払いを優先してしまった」と話しているということです。
また、アメリカの支店の担当者が、7月から8月にかけて、貨物の積み込みなどの委託料およそ2400万円を不正な口座に振り込んでいました。
日本航空は警視庁と香港警察などに被害届を提出したということです。(TBS NEWS 2017年12月20日17:49)

支払が滞っていたのならわからないでもありませんが、「航空機のリースを止められる可能性もあり、確認の前に支払いを優先してしまった」ということはとても不自然に感じます。

もし、先方との契約がそのような内容になっていたとしたら、企業間取引にも問題がありそうです。

これが事実なのか、担当者の推測なのか、明確にしなければなりません。

もし、これが事実だとしたら、(財務担当者のお気持ちはわからないでもないですが)何とも軽率で残念な判断であると言わざるを得ません。

大手企業の財務担当者ならばなおさら慎重さが求められるからです。

また、読売新聞では以下のように紹介されました。

日本航空は8~9月、取引先を装った第三者から「振込先の口座を変更した」などとする偽メールを送られ、計約3億8400万円をだまし取られたと、20日発表した。
日航によると、9月下旬、米金融会社に支払っている航空機のリース料について、同社の取引担当を装った者から「料金の振込先の口座が変更になった」という趣旨のメールが日航本社の担当者に届いた。
担当者はこれを信じ、指定された香港の銀行口座に約3億6000万円を振り込んだ。
米国内にある日航の貨物事業所でも8月上旬、取引先を装った者から業務委託料の支払先について同様のメールが届き、9月初旬までに計約2400万円を香港の別の銀行口座に振り込んだ。
いずれも取引先から「支払いがない」などと指摘があり、被害が発覚。
日航は警視庁や香港警察、米連邦捜査局(FBI)に被害を届けたという(読売新聞 2017年12月20日)。

メールでのやり取りがポイントとなりそうです。

取引先から「支払がない」という指摘があって発覚したところもポイントです。

企業間取引では、今から支払いますというようなアナウンスはほとんどありません。

その盲点を突かれたのかもしれません。

JALは昨年末、社債不履行を起こした企業としては異例の社債が発行されました。

これからと言うときに本当に残念なNEWSです。

日本航空が年内にも普通社債を発行する。経営破綻で社債の債務不履行(デフォルト)を起こした日本企業が社債市場に復帰するのは初めて。
起債規模は総額200億円程度となる見込み。JALは2010年の経営破綻後、財務健全化に力を注いできた。社債市場への復帰で資金調達の幅を広げ、将来の成長投資につなげていく(日本経済新聞 2017年11月25日)。

さらに、2010年の再生タスクフォース債権放棄額は5,200億円にのぼります。

会社更生手続き中の日本航空と管財人の企業再生支援機構が日本政策投資銀行や3メガバンクなど民間金融機関に要請している債権放棄額3830億円の内訳が27日、明らかになった。
内訳は政投銀が1421億円、みずほコーポレート銀行が566億円、三菱東京UFJ銀行が514億円、三井住友銀行が176億円などとなっている。
社債やデリバティブ(金融派生商品)なども含めた債権放棄要請額全体は5216億円となる(日本経済新聞 2010年7月28日)。

国民の立場からすれば、こうした利害関係者の協力があって今のJALがあることを忘れてはならないと思います。

今回の被害額3億8,000万円は超大金です。

それゆえに、内部統制をしっかり機能させて欲しいという気持ちが強いです。

こうしたことはもちろんあってはならないことですが、JALは事件があったことを説明した点は評価するべきだと思います。

最もいけないのは、問題がひた隠しにすることです。

品質問題で揺れている大手企業ですが、組織ぐるみでの隠蔽は何の意味も無いのです。

より良く変わっていくために、「BAD NEWS FIRST!」が鉄則なのです。

そういう意味では、JALは企業の社会的責任を最低限は果たしたと言えるかもしれません。

簡単ではありますが、内部統制の視点からなぜこのようなことが起きるのか考えましょう

今回の事件によって、JAL内における内部統制システムが機能していないことが明るみとなったと言えるでしょう。

現状において内部統制は、大会社では義務付けられております。

日頃の業務で起こりうるリスクや不安要素を抽出し、それぞれに対応できる適切な内部統制を構築することによって、強い企業を作ることがあらゆるステークホルダーを守ることにつながるからです。

これは、会社が永続するための経営=CSR経営(企業の社会的責任)を実現するためにも重要な観点となります。

内部統制は、4つの目的と6つの基本的要素による(フレームワーク)によって構成されます。

内部統制の4つの目的
1.業務の有効性・効率性
事業活動の目的の達成のため、業務の有効性および効率性を高めること
2.財務報告の信頼性
財務諸表および財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保すること
3.事業活動に関わる法令等の遵守
事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進すること
4.資産の保全
資産の取得、使用および処分が正当な手続きおよび承認の下におこなわれるよう、資産の保全を図ること

内部統制の6つの基本的要素
1.統制環境
組織の気風(組織風土・社風)を決定し、組織内のすべてのものの統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をなし、影響を及ぼす基盤
2.リスク評価と対応
組織目標の達成に影響を与える事象について、組織目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析および評価をし、当該リスクへの適切な対応をおこなう一連のプロセス
3.統制活動
経営者の命令および指示が適切に実行されることを確保するために定める方針および手続き
4.情報と伝達
必要な情報が識別、把握および処理され、組織内外および関係者相互に正しく伝えられることを確保すること
5.モニタリング
内部統制が有効に機能していることを継続的に監視・評価するプロセス
6.ITへの対応
組織目標を達成するためにあらかじめ適切な方針および手続きを定め、それを踏まえて業務の実施において組織内外のITに対し、適切に対応すること

4つの目的が達成されるように基本的要素が業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されることが重要です。

一つ一つの基本的要素をチェックし、問題点を明確にしてカイゼンする必要があります。

特に、4の情報と伝達が問題となるでしょう。

また、2のリスク評価と対応も後手後手に回ってしまったのかもしれません。

なお、内部統制には4つの限界があるとされています。

内部統制の4つの限界(企業会計審議会内部統制部会 平成17年12月8日)
1.経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある。
2.判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。
3.当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。
4.内部統制の整備及び運用に際しては、費用と便益と比較衡量が求められる。

今回の場合は普通に考えれば「3.当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。」に該当するでしょう。

予期しない取引先の口座の変更に対応しきれなかったと言えます。

もし、「2.判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。」であるとすれば、大きな問題です。

考えてみれば不自然なことがいくつか起こっています。

不自然だと思われるポイントを以下にあげます。

1.担当者の責任が不明確ではないのか?

TBSのNEWSで紹介した、財務担当者が「航空機のリースを止められる可能性もあり、確認の前に支払いを優先してしまった」という部分はとても不自然に感じます。

もし、これを財務担当者の独断だとしたら、それはますます不自然です。

責任が不明確になっていることも考えられます。

2.情報漏洩の可能性は?

以下の点が不自然であることから、情報漏洩の可能性が疑われます。

(1)(犯行グループが)財務担当者のメールアドレスを知っていた点。

(2)取引先の名前や住所、電話番号を知っていた点。

(3)取引内容を知っていた点(金額までも知っていた?)。

(4)大きな金額が動くにもかかわらず、口座の変更に関してメールによる確認で済ませていた点

犯行グループは、内部の事情に相当詳しいと思わざるを得ません。

(金額の大小は本来ならば関係ありませんが)顔見知りの担当者同士の会社の電話による確認が必要だったでしょう。

大きな金額が動く以上は、慎重さに欠けていたのではないかと言われても仕方ないでしょう。

今後の対策

これからどうすれば防げるのかを考えましょう。

銀行口座を変える旨の連絡が取引先からあった際は、重要機密書類と電話によるやり取りが必須になるでしょう。

専用の印鑑も必要となるかもしれません。

携帯電話では無く、会社からの電話のやりとりも必要となるでしょう。

これは口座を変える側にも責任が発生してきます。

振り込め詐欺やオレオレ詐欺は無くならない

こうした事件は人ごとではありません。

明日は我が身であると考える事が大切です。

振り込め詐欺やオレオレ詐欺は完全に組織化されています。

私の実家にもこれまで3回、私の名前を語って電話をかけてきたそうです。

つくづくいやな世の中になったと嘆きたくなりますが、強い気持ちを持ってリスクへの対応策を構築していくしか手立てはありません。

詐欺事件は企業の規模にかかわらず人ごとではありません

内部統制は、大会社では義務付けられておりますが、本来は、リスク・脅威に対して脆弱な中小企業こそ積極的に取り組む必要があります。

日頃の業務で起こりうるリスクや不安要素を抽出し、それぞれに対応できる適切な内部統制を構築することによって、強い企業を作ることがあらゆるステークホルダーを守ることにつながるからです。

そして、全ての社員さんが取り組むことがポイントです。

「正しいか正しくないか、自然か、不自然か」で判断できる組織風土・社風づくりをすべての社員さんで取り組んで行きましょう。

人を大切にするいい会社は、社内、社外の人を守らなければならないのです。

大丈夫でいきましょう!

内部統制を見直しましょう

ピックアップ記事

  1. 『人を大切~』が静岡新聞で第1位に!陸王もランクイン
  2. トーハンさんの各地区で「突出して売れている本」の特集で第3位に
  3. 静岡新聞「今週のベストセラー」で第1位に
  4. この1ヶ月間、静岡新聞「今週のベストセラー」で3回紹介されました
  5. 『静岡発 人を大切にするいい会社見つけました』が江崎書店さんのサイトで第1位に

関連記事

  1. 人と会社・企業

    大手企業と中小企業の景況感(日銀短観)

    2011年9月の日銀による大企業の景況感はプラス2昨日は中小企…

  2. 社会(政治・経済等)

    ユニクロの2011年6月の売上高

    2011年6月のユニクロの国内既存店売上高が前年同月に比べ3.9%増加…

  3. 人と会社・企業

    個人企業の業況判断が2年ぶりに上昇

    総務省がまとめた4~6月期の個人企業経済調査を紹介します(日本経済新聞…

  4. 人と会社・企業

    中小企業もアジアで稼げる!?

    昨日に引き続き中小企業白書について述べます。2010年版の中小企業…

  5. 人と会社・企業

    3連休最終日、静岡の夜の街は人もまばらでした

    1月8日祝日の月曜日、静岡の街中の夜はとても厳しかったですかね…

  6. 人と会社・企業

    ギブアンドテイク(give and take)、できてますか?

    ありがとうの言葉はいい人間関係の本質人から何かをしてもらった時…

2017年12月
« 11月   1月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

アーカイブ

ピックアップ記事

  1. 人と会社・企業

    静岡新聞「今週のベストセラー」で第1位に
  2. 人と会社・企業

    未来工業 山田雅裕社長をお招きして3
  3. 人と会社・企業

    『静岡発 人を大切にするいい会社見つけました』が江崎書店さんのサイトで第1位に
  4. 人と会社・企業

    人を大切にするいい会社を増やしていきましょう
  5. 人と会社・企業

    ローランドベルガー長島聡社長のAI現場力と和ノベーション
PAGE TOP