人と会社・企業

製品データ改ざん問題は我が国全体の問題

大手メーカーだけでなく、私たち国民も真剣に考えなければならない

製品のデータ改ざん問題が我が国製造業全体に広がっています。

これは、もちろん大手メーカーの責任ではあります。

しかし、私たち国民も真剣に考えなければならないことだと思っています。

脱デフレ経済のために、我が国全体で考えなければならないことなのです。

以下、引用いたします。

東レは27日、子会社による製品データ改ざん問題で外部の有識者委員会(委員長=藤田昇三弁護士)がまとめた調査報告書を公表した。組織的な関与は見当たらなかったが、動機について「顧客から要求されるサンプル数が増えるなどして担当者の負担が増えた」と指摘。「納期に間に合わない」と考えたことが書き換えを招いたと結論づけた。
子会社の東レハイブリッドコード(THC、愛知県西尾市)の本社工場では2008~16年、自動車用タイヤやホースなどの補強材に関する品質検査のデータを改ざん。顧客と契約した値に達していないのに満たしているよう書き換え、自動車関連メーカーなど約13社に供給していた。
調査委は一連の経緯のなかで「東レの組織的関与はなく、歴代の品質保証室長2人のみが実行者だった」と説明。さらに「適性に欠ける者が品質保証にあたっており、THCの経営層が不正を見抜くことができる体制作りを怠った。品質保証への関心が薄かった」と結論づけた。
調査委は品質保証検査の業務に加え、国際標準化機構(ISO)対応業務もあり、検査自体も顧客から要求されるサンプル数が増加するなどして負担が増大していたと指摘。検査において実測データが規格値から外れると納期に間に合わないと考えたことがデータ改ざんの動機とした。
法令違反や製品の安全性に問題はなかったが、再発防止に向け「グループ全体で品質保証に関するコンプライアンス(法令順守)の強化」を求めた。
一連の報告を受け東レは、グループ全体の品質保証を統括する役員を選任するほか、品質保証の実効性を監督する部署の設置を決めた。
東レはTHCの鈴木信博社長を12月1日付で事実上更迭するなど処分したほか、品質データの測定から証明書の発行まで人手を介さないシステムの導入など再発防止策をまとめており、調査委はその妥当性を検証していた(日本経済新聞 2017年12月27日)。

「東レの組織的関与はなく、歴代の品質保証室長2人のみが実行者だった」というところで、私は残念な気持ちになります。

いわゆる、「トカゲのしっぽ切り」をいくらしたところで本質的な問題解決には至らないからです。

もし、上層部がこのことを知らなかったとしたら、厳しい言い方になってしまいますが、現地・現物・現認を怠ったとしか言いようがありません。

次に、新幹線に関する亀裂トラブルについての記事です。

東海道・山陽新幹線ののぞみの台車に亀裂が入ったトラブルで、JR西日本の来島達夫社長は27日午後、記者会見し、列車の異常を確認後も走行を続けたことについて「運行停止に関する判断基準が曖昧だった」と述べた。
車両保守担当社員が新幹線総合指令所に台車の点検を提案したが、指令員が十分聞き取れなかったため停止しなかったことも判明。車両の異常を巡り、乗車していた保守担当と指令所の間に認識のずれが生じていた。
トラブルは11日に発生。JR西によると、博多発東京行きののぞみ34号が小倉駅(北九州市)を発車した午後1時50分ごろ、客室乗務員が異臭に気づき、車掌に報告していた。
岡山駅(岡山市)から車両保守担当社員が乗車したところ、異音を確認。新幹線総合指令所の指令員に対し「安全をとって新大阪駅(大阪市)で床下(の台車点検)をやろうか」と提案したが、指令員は指令長からの問い合わせが重なったため、聞き取れなかったという。
これまでに異臭や異音、もやが発生していたことが既に明らかになっているが、JR西によると、福山駅(広島県福山市)から新大阪にかけて振動も確認されていた。新幹線は、新大阪から運行を引き継いだJR東海が名古屋駅(名古屋市)で停止を決めるまで、約3時間にわたって走行を続けた。
来島社長は記者会見で「新幹線の安全性に対する信頼を大きく損ね、多くの人々に大変な不安と心配をかけ、深くおわびする」と改めて謝罪した。
運輸安全委員会は今回のトラブルを新幹線としては初めてとなる重大インシデントと認定。台車に入った縦14センチに及ぶ亀裂は、過去からあった細かい傷が当日の走行中に広がった可能性もあったとみて調査している(日本経済新聞 2017年12月27日)。

この記事の内容に違和感を覚えるのは私だけではないと思います。

「指令員が十分聞き取れなかったため停止しなかった」というのもあり得ないことです。

異常があることには気付いていたのですから、何よりも安全第一のための「BAD NEWS FIRST!」を徹底し、改善することが必要でした。

その前の車両チェックはどうなっていたのでしょうか?

いちばん最後の「過去からあった細かい傷が当日の走行中に広がった可能性もあった」というところにも違和感を覚えます。

ならば、乗車前の車両チェックはさらに入念に行う必要があります。

そもそも、神戸製鋼の問題で注目を浴びているのです。

まずこの台車の部品が品質的に問題がある疑いがあるわけですから(神戸製鋼の製品であろうとなかろうと)、速やかに安全基準を満たしているか確認し、代わりの製品に交換するべきです。

こんなことはないとは思いますが、一度「安全に問題はない」と言ってしまった以上はその発言を変えられないというのならば神戸製鋼の問題と同じです。

こうした体質が日本のものづくりを弱めていると言ってもいいでしょう。

どこまでも愚直に原因究明と安心・安全を果たしていただきたいと願っております。

いいものを安く短納期で大量につくることに無理がある

我が国を包み込んでいるデフレ経済は、製造業の品質、コスト、納期の面で相当の無理が生じています。

品質は良くなければならないのは当然のこと、コストはより絞り、なおかつ、納期は短縮されるといったことが行われるからです。

「いいものを安く、短納期で大量生産」というものが常識となっている我が国製造業の構造ははっきり言ってめちゃくちゃです。

私は、現場をしっかり見ている方ならば、いつかこうなるときが来るとわかっていたのではないかと思います。

問題を見て見ぬふりをし、先送りされてきたことがここに来て噴出してきたのです。

その結果、最終消費者の安全が保証されないところまで来たのです。

これでは本末転倒です。

いよいよ「いいものを安く、短納期で大量生産」を国全体で改善するときがやってきたのではないでしょうか。

明るい将来をつくるために、これまでの常識を一度捨てて欲しいと思います。

「いいものを安く、短納期で、大量生産」の経済がいかに支持されていないか

「いいものを安く、短納期で、大量生産」の我が国経済は市場でも支持されていません。

それはそうだと思います。

データ改ざん問題は「いいものを安く、短納期で、大量生産」がいかに無茶であり、安心・安全をないがしろにしているかということを明確にしました。

株式市場においてもそれが支持されるわけがないのです。

世界で高額消費関連株が上昇している。「グッチ」を傘下に持つ仏ケリング株やイタリアの高級車フェラーリ株の年初来上昇率は8割を超えた。世界の高級ブランド株で構成する株価指数は年初から37%上昇し、最高値圏で推移する。景気拡大や株高に伴う資産効果で個人の高額消費が活発になり、高級ブランドの業績拡大を期待した投資家の資金が集まっている。
~中略~
みずほ総合研究所の調べによると、今冬の1人当たりのボーナス支給額は3年ぶりに増加した。東京・銀座で百貨店を運営する松屋は「化粧品や高級ブランド品が好調」といい、年初来の株価上昇率は4割を超える。
一方、国内カジュアル衣料品大手のしまむらや米小売り大手のターゲットなど価格帯が相対的に低い企業の株の多くは年初来上昇率がマイナス圏に沈む。高額消費関連株とは対照的な値動きで、株式市場は低価格品よりも高額品の需要拡大を織り込み始めている(日本経済新聞 2017年12月22日)。

さらば、「いいものを安く、短納期で大量生産」

私はこれこそがデフレ経済の元凶であると断言します。

ものの価値が下がるに決まっています。

いいものを安く、短納期で大量生産は現実的に無茶なのです。

できないのです。

できないからこそ、データ改ざんをせざるを得ない状況に追い込まれてしまったのです。

規定に達していない品質の材料を使用することに目をつむってしまったのです。

ものづくりは世界一だけど

私たち日本人は、ものづくりは世界一だと思います。

ただし、販売がとても下手です。

我が国に、フェラーリやグッチのような高級ブランドが育っていないことが何よりの証拠です。

「いいものを安く」の価値観に縛られてしまっているからです。

私はこれが我が国の生産性(付加価値生産性)を低めていると断言します。

一度その常識と思っていることを疑いましょう。

私たちの就業1時間当たり付加価値(労働生産性)は先進国の中でも20位、主要先進7カ国の中では最下位なのです(日本経済新聞 2017年12月20日)。

私たちはものづくりと販売の両面を真剣に考え直さなければなりません。

1円でも高く売り、お客様にそれ以上の価値を与えることができる「人財」を育てましょう

「いいものを安く、短納期で大量生産」は自社の経営努力の範囲の中で実現するならばいいですが、それは不可能です。

社員さんの給料を下げて実現していてもそれは間違っています。

言うまでもなく、非正規社員さんや協力会社に対する行き過ぎたコストカットによって実現していても間違っています。

それらは人を大切にする経営ではありません。

それらの犠牲の上に「いいものを安く、短納期で大量生産」を実現しても人は幸せにならないのです。

そして、販売に関しては、1円でも高く売り、お客様にはそれ以上の価値を提供することに尽きます。

これが真の経営努力なのです。

その中心にいるのは、「人財」です。

だから、人を大切にする経営を実践しなければならないのです。

人を大切にする会社を増やし、人が中心となる経済にしていきましょう。

今こそチャンスです。

大丈夫でいきましょう!

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