人と会社・企業

今の若者は・・・と嘆く前に私たちがすべきこと

パソコンや携帯電話、カーナビの普及で人は考えなくなった

今の世の中は本当に便利になりました。

しかし、便利になりすぎたことで何か大切なものが衰えたり失われたりしている実感があります。

みなさんにもあると思います。

私自身、以下のことが衰えています。

いつの間にか漢字が書けなくなっています。
(本当に書けなくなっています。)

いつの間にか電話番号を覚えられなくなりました。
(以前は、語呂合わせ等で覚え方に知恵を出しました。)

いつの間にか、道順を人に説明するのがとても下手になりました。
(以前は得意でした。カーナビの普及で覚える必要がなくなったため)

便利になったのはいいですが、人としての大切な能力が弱っているような気がします。

それは感性なのかもしれません。

感性は常に鍛えていないと衰えてしまうのです。

目標物に簡単に到達することが必ずしもいい訳ではない

さて、若者たちのお話です。

「学歴はあるのだけど、仕事ができないんだ」

私は、毎年新入社員研修をやらせいただくのですが、社長やリーダー達からこのような相談を受けることがとても多くなりました。

私も現場での支援を通じて感じていることがあります。

今の若者は「考える(知恵を出す)」ことに慣れていないと実感することが多いのです。

また、物事への関心が薄いような実感もあります。

それらの要因について、私には明確な仮説があります。

それは、「今の若者たちが目標となる物に対してあまりにも簡単に到達する世界に慣れてしまっているから」であると思っています。

つまり、便利になりすぎた世の中の犠牲者であるということです。

パソコンや携帯電話がその象徴ですが、一方で自分が「面倒くさい」と思う事柄には対応しなくていい風潮の中育ってきた世代です。

家の電話を使うことは本当に少なくなりました。

今では誰からかかってきたかわかるため、電話の出方も大きく変わりました。

人は困らないと知恵を出さないというのが私の持論でもありますが、典型的な過去の体験を紹介します。

困ったから考えた・・・象徴的な事例

今では考えられないことですが、私が高校生だった30年程前は携帯電話やポケベルがない時代でした。

高校生の時は、好きな人ができたら家庭の電話を使ってアプローチをしました。

しかし、なかなか一筋縄ではいきません。

ご両親というふたつの大きな壁が待っているからです。

それぞれの大きな壁を乗り越えて目標物である好きな子と話すことができるのです。

お父さんが厳しい人だと大変です。

運悪く電話にお父さんが出てくることもあります。

「そんな子はうちにはいない。」

私はそう言われてガチャンと電話を切られてしまったことがありました。

その時のショックは本人に振られたとき以上だったかもしれません。

しかし、どうすればその大きな壁を乗り越えることができるか考えたものです。

まずは挨拶に気を使いました。言葉遣いにも気を使いました。

たどたどしくならないように、何を話すのかシナリオを作りました。

はっきりと発音するように練習しました。

さらにご両親に気に入ってもらえるよう、食べ物の好物や趣味を好きな子から聞いてプレゼントすることもありました。

好きな子本人と話すことももちろん楽しかったですが、「お父さん」という共通の話題ができたことで幅が広がったような気がしました。

そのような状況からお父さんに少しずつ受け入れられたことはとてもうれしいことでした。

あるとき、好きな子からこのように言われました。

「お父さん、この間、富田君のおみやげをおいしいと言って食べていたよ。」

その瞬間、あまりにうれしくて小躍りしたことを覚えています。

そして、ある時電話をかけたら、お父さんからこのように言われたのです。

「こんにちは。先日はわざわざおみやげをありがとう。おいしくいただいたよ。娘に代わるからちょっと待ってね。」

その時の喜びは生涯忘れられません。

気を使っていたことが「真心が通じた」ことに変わったのだと思います。

こうしたプロセスを経たからこそ、好きな子と電話が繋がった時の喜びもまた格別なものがあったのです。

学校でさんざん会話をしていてもそうなのです。

そのうれしさは今でもはっきりと覚えているくらい大きなものなのです。

この時の気遣いは、社会に出ても対人関係を構築する際に役に立っていると思います。

きっと似たような体験が40~60代の人たちにあるのではないでしょうか?

私たちは目標物に簡単に到達できなかったことで知恵を働かせ工夫してきたのです。

今の若者たちは好きな子にダイレクトにアプローチできます。

便利になったのはいいのかもしれませんが、何か大切なモノが失われてしまった気がしてなりません。

そうした体験がないまま社会に出てくることは、むしろかわいそうなことであり、悲劇ではないかと思います。

仕事でも自分の真心が通じた瞬間は、最大のやりがいが得られます。

「人から褒められ、人に必要とされ、人の役に立っていること」が実感できたときです。

そのベースとなる行動は、気付き、気遣い、心配りの積み重ねにあるのです。

しかし、今の若者たちは、それが極わずかであり、これから鍛えていかなければならないのです。

「気がつかない」のは無理もないのです。

物事への感心が弱いと感じられるのも無理はないのです。

便利になりすぎた世の中で、大切なことを見失わないように

今の若者たちにとって社会に出る(就職する)ということは、年々ハードルが上がっているような気がします。

それは決して若者たちだけのせいではありません。

若者たちを取り巻く環境を作り上げた私たち年長者ひとり一人に責任があります。

「仕事ができない」若者たちをつくりだしてきたのは、私たちひとり一人なのです。

親、学校、地域、それぞれに責任があります。

若者たちが人のせいにするのは、私たちが人のせいにするからだと思います。

若者たちのせいではありません。

そのようなことをしてきた私たち大人の責任です。

「今の若者は・・・」と嘆く大人たちが今の若者をつくった

私たちは、子供の教育に関して「世の中(人)の役に立つ人になるように」という目的を明確にするべきだと思います。

「人として」の本質部分です。

本来は家庭や学校でそのことを教えるべきですが、現状はとても不足しています。

だから、社会に出てきて(会社に入社して)教えなければならないのです。

それゆえ、お客さまよりも先に気がついて行動して、喜ばれるような仕事など、そうそうできるはずがないのです(しかし、これが仕事の本質です)。

困っている人に対して気を使うことはもちろん、かゆいところに手が届くような気遣いをすることも、なかなかできなくて当然なのです。

そして、これは本来の若者たちの能力ではありません。

そうなってしまったのは、若者たちの能力・魅力を引き出せない私たちに責任があるのです。

私は若者たちが便利になりすぎた世の中の犠牲者になってはいけないと思います。

時には、大いに困らせて知恵を出させるような教育が必要だと思います。

実際に、「人を大切にするいい会社」ではそのようなことを実践しています。
(この実例についてはまた話せる範囲で伝えたいと思います)

それが結局は若者のためになるのです。

これからの世の中を創っていくのは老人ではありません。

若者なのです。

未来のいい会社を創っていくのも若者なのです。

大丈夫でいきましょう!

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