人と会社・企業

景気拡大に足踏み感が・・・日銀短観が2期連続で悪化したようです

景況感が悪化したのは原材料費や人件費の上昇を販売価格に転嫁できないことが大きい

7月に入りました。

早いもので2018年もあと半年ですが、景気拡大に足踏み感が出てきたという気になるニュースが入ってきました。

以下、日本経済新聞の記事を引用いたします。

景気拡大に足踏み感が出てきた。日銀が2日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、原料高が重荷となり大企業製造業の景況感が5年半ぶりに2四半期連続で悪化。日本経済が成長を持続するためのハードルとして、原料高の販売価格への転嫁、強気の設備投資計画がどれだけ実行に移るか、米国が仕掛ける貿易摩擦の行方――という3点が浮かび上がった。

足元の景況感が悪化したのは原材料費や人件費の上昇を販売価格に転嫁できないことが大きい。

石油化学製品を扱うメーカーは原油高がコスト増要因となる。2019年3月期に4期ぶりの営業減益を見込むトクヤマは原料高が苦戦の主因。塩化ビニール樹脂など化成品事業では、原油由来のナフサ(粗製ガソリン)高が50億円程度の採算悪化をもたらす。品質面で差別化が難しい汎用素材なので、コスト増を販売価格に転嫁しにくい。

短観では企業がコスト増を価格に転嫁できない構図がより鮮明になった。仕入れ価格が「上昇」した企業の割合から「下落」した割合を引いた値(DI)は、大企業製造業でプラス30と前回調査から4ポイント上昇。一方で販売価格を「上げた」企業の割合から「下げた」割合を引いた値はプラス5と1ポイントの上昇にとどまった。

食品業界ではトラック運転手の確保が難しく、輸送コストが上がっているが、カゴメは「消費者は値ごろ感を意識して商品を選ぶ傾向が根強い。商品に付加価値をのせなければ価格転嫁は難しい」と話す。同社や味の素など5社は来年4月に共同物流会社を立ち上げ、コストを抑えて収益確保を目指す方向だ。

小売業界ではネット通販が台頭する上、ドラッグストアも食品の値下げで集客力を高める。値上げは「客離れを招くだけ」(食品スーパー幹部)。こんな構図も川上の価格転嫁が難しい一因だ。

ただ非製造業の中小企業には価格転嫁の動きもみえる。販売価格のDIは前回から3ポイント上がってプラス4と、1991年以来の高水準を付けた。第一生命経済研究所の藤代宏一氏は「労働コストの上昇がきつく、値上げに踏み切っていると思われる」と分析する。

原油は石油輸出国機構(OPEC)の協調減産で在庫が減り、値上がりしやすい環境が続く。人件費も人手不足が原因だけに、今後も上がる可能性がある。コスト増をどう乗り越えるかが今後の景況感を左右しそうだ(日本経済新聞 2018年7月3日)。

みなさんはどのように思われますか?

なぜ価格転嫁ができないのでしょうか?

「非製造業の中小企業には価格転嫁の動きも見える」という点はとても素晴らしいことだと思います。

製造業はどうしても元請企業が価格決定権を持っていますので、現実的にとても難しいとは思います。

しかし、未だに行き過ぎたコストカット要請があるとすれば間違っています。

大手企業は今期業績が高まった分をしっかり協力会社たる中小企業に還元するべきです。

それが、価格転嫁の動きに対する準備にもなっていくからです。

反対に「行き過ぎたコストカット要請」の元で、無理をしてつくることから少しずつ脱していかなければ「忙しくてもじり貧」の状態の中小企業が増えてしまうことでしょう。

中小企業支援の現場から申し上げるならば、価格競争から脱する経営或いは社会にして行かなければ、好景気は利益が圧迫された所に吸い尽くされてしまうことでしょう。

2017年は22%も原材料価格が上がったのに最終財は0.5%

私は「いいものを安く」は経済成長を否定することになると思っています。

2017年は原材料価格が22%上がったのにも関わらず最終財の価格は0.5%しか上がりませんでした。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

簡単に言えば、原材料費が上がっても商品の価格は変わらなかったのです。

では、原材料費が上がった分をどこで圧縮したのでしょうか?

それは元請会社の社員さんもがんばったでしょうけれど、それだけではありません。

いちばんは、協力会社の社員さんひとり一人の社員さんのがんばりによって圧縮されたのです。

しかし、もしそれらの懸命ながんばりが圧縮という名の「犠牲」になっているとしたら、こうした経営は間違っていると言わざるを得ません。

それらを裏付ける気になる統計結果も出てきています。

例えば、先日の大阪府の中小企業のボーナスの状況をご覧ください(大阪シティ信用金庫様の調査結果)。

この調査は、大阪府の中小企業にのみ実施していますが、大手企業に比べてボーナスの支給額はおよそ1/3です。

支給率は6割です(4割がボーナスを支給していない)。

そして驚くべきは、(夏のボーナスの)支給額自体が過去20年間変わっていない点です。

元請企業(大手企業)の協力会社にはこれらの中小企業が数多く存在していることが現実的ですが、この調査結果からも商品価格がいかに据え置かれてきたかを推察することができるのです。

過去20年も夏のボーナスが変わらなかったことが「私たちに景気回復の実感がずっと持てなかった何よりの証拠」ではないでしょうか。

それにしても、この20年間いかに協力会社や中間業者さんががんばったかがわかります。

同時に、利益が圧迫されますから、思った以上に給料は高まっていないことでしょう。

まさに失われた20年ではないでしょうか。

私はこれぞデフレの正体だと思っています。

こうした経営から脱することが私たちには求められます。

反対からいえば、所得(給料やボーナス)が高まるように経営することです。

それが健全なる経済成長です。

給料を高めるためには、「いいものを適正価格(高くても可)で売ること」です。

「いいものを安く」の根絶を。行政のみなさんには行き過ぎたコストカット要請をしている会社に対する取り締まりを現地・現物・現認で強化して欲しいですが

「いいものを安く」が協力会社の社員さんや非正規社員さんの犠牲の上に成り立っているならば、罰則を強化するべきです。

ただし、そういう状況になっているかを中小企業に「教えてください」ではなかなか明確にならないでしょう。

それこそ、そんなことが元請企業にバレたら仕事から干されてしまうからです。

ここには行政のみなさんが現地・現物・現認で見る力が必要となってきます。

また「いいものを安く」を展開している会社に対しては、私たち消費者は厳しい目を持ち、明確に拒絶するべきです。

「いいものを安く」といった私たちの消費者の価値観も思い切って変えることです

私たちも目先の利益を追うことを辞めなければなりません。

安くて品質もいいものは不自然なのです。

低価格・高品質を求めるあまり、安心・安全が犠牲になってしまう例がこれまでもありました。

それは、いちばんしてはならないことです。

これまでも言い続けてきましたが、企業がするべきことは思い切って価格を上げることです。

消費者はそれを受け入れて、しっかりといいものに対してお金を払うべきです。

その方がお金が世の中を潤滑していくはずです。

デフレの脱却にいちばん効果的でしょう。

来年10月に迫った消費増税(8から10%に)も注意しなければなりません(私は中小企業の現場に生きるものとして消費増税には反対です)。

もし「消費税還元」というような販売をしている会社があったら、真っ先に疑い買うのをやめましょう。

なぜならば、犠牲になっている協力会社さんがいる可能性が高いからです。

経営は2%の利益を出すのも大変なのですが、それができるのは不自然なのです(我が国は5%あれば超優良企業です)。

地方では人口減少、特に若者の減少が顕著だからこそ

マーケティングの話になりますが、売上高は客数×客単価からなります。

客数はこれから人口減少によって減ることが現実となります。

特に若者が地方では減少しています。

それは極めて顕著です。

このままでは若者たちが増えることは「ない」のです。

このことを私たちは現実としてしっかりと受け止めていかなければならないのです。

だから、内需を拡大するためには、これからは客単価を高めていくしかないのです。

薄利多売の経営から販売個数が少なかったとしても利益が出るような経営に変えていくべきです。

売上があまり伸びない可能性があるからこそ、しっかりと利益(粗利益)にこだわる経営を実施するべきなのです。

そして、若者を中心とした給料アップの実現が大命題です。

それらが若者が安心して子供を産める世の中にする大きな一歩だと思うからです。

以下のような状況が続けば、私たち日本人自体がそのうちいなくなってしまうかもしれません。

サッカー日本代表も国際大会で通用する価値観を持とうと変わりました。私たちも「いいものを安く」を捨てて国際的な感覚=「いいものは高い」を持ちましょう

サッカー日本代表がこれまでの価値観を変えて国際大会で通用する内容で立派に闘いました。

私たちも価値観を変えていかなければならないと思います。

その筆頭は「いいものを安く」からの脱却です。

「いいものは高い」がまともなのであり、国際標準なのです。

これを反対からいうと、我が国では我が国独自の高級ブランドがなかなか育ちにくい風土です。

車にしろ、時計にしろ、ハンドバッグにしろ、服にしろ、我が国の商品は「高品質だけど安い」のです。

非常に勿体ないと思います。

中身は絶対に負けません。

ならば自信をもってそれなりの価格で売るべきではないでしょうか。

そもそも人々の知恵や職人さんの匠の技術がふんだんに含まれた商品・サービスを安く売ることはおかしいとおもいます。

それが欧米に匹敵する高級ブランドの中身をつくることができても、売ることができない私たち日本人の弱点だと思います。

よく私はトヨタのレクサスの例をお話しさせていただきますが、私たちは「売る」ことがとても下手なのです。

もっと言えば、付加価値に対してお金を払うことが習慣になっていません

以上をひっくるめて、私たちは販売に関して新たな改革を実施することが重要です。

そのコアとなるのは会社にとってかけがえのない「人財」です。

日本代表が変わっていったように私たちも変っていきましょう。

人も、組織も、より良く変わっていくのです。

大丈夫でいきましょう!

ピックアップ記事

  1. 静岡新聞「今週のベストセラー」で第1位に
  2. 『人を大切にするいい会社~』が6位にランクイン!
  3. トーハンさんの各地区で「突出して売れている本」の特集で第3位に
  4. 出版記念講演会にご参会いただきまして誠にありがとうございました
  5. 人を大切にするいい会社を増やしていきましょう

関連記事

  1. 人と会社・企業

    働きやすい会社は社員の能力を最大限に(スマートワーク経営調査)

    働きやすい会社=社員の能力を最大限に引き出す経営=高い業績(生産性)…

  2. 人と会社・企業

    静岡県ワーク・ライフ・バランスセミナー 静岡1編開催

    2012年度静岡県ワーク・ライフ・バランスセミナー静岡編が開催されまし…

  3. 人と会社・企業

    中古車も苦戦!若者は?

    中古車も極めて厳しい状況・・・ピークだった1996年度と比べると約3割…

  4. 人と会社・企業

    わずらわしさから逃れることが癖になってしまうと

    せっかく決めたルールが守られないのはなぜでしょう組織で決めたル…

  5. 人と会社・企業

    消費増税をした際の中小企業支援

    中小企業や小売店が増税分を価格に適切に転嫁できるか消費税率を引…

  6. 人と会社・企業

    円滑化法後に倒産する企業が急増

    中小企業金融円滑化法を利用した後の倒産が増加中小企業金融円滑化…

2018年7月
« 6月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

アーカイブ

ピックアップ記事

  1. 人と会社・企業

    大館市福原淳嗣市長とお話しさせていただきました
  2. 人と会社・企業

    『人を大切にするいい会社~』が6位にランクイン!
  3. 人と会社・企業

    いい会社にしていくために・・・『人を大切に~』が第2位にランクイン
  4. 人と会社・企業

    未来工業 山田雅裕社長をお招きして3
  5. 人と会社・企業

    人を大切にするいい会社を増やしていきましょう
PAGE TOP