「いいものを安く」の追求のしすぎで安心・安全が犠牲になることは本末転倒では?

人と会社・企業

新車の排ガス検査に関しスズキは2012年以降の6401台で無効な測定値を有効にした

3社はローラー台上で走行させて排ガスを測る際、速度や測定時間が決められた範囲を逸脱したものを有効としていた

私は大手メーカーに品質問題は我が国全体の問題であり、決して人ごとではないと思っています。

またしても我が国のものづくりの信用を根本から失わせる残念なニュースが飛び込んできました。

いい加減に私たちは目を覚まさなければならないと思います。

以下、日本経済新聞の記事を紹介いたします。

国土交通省は9日、新車の排ガス検査に関し、マツダやスズキ、ヤマハ発動機の3社で不適切な事例が見つかったと発表した。今春以降、SUBARU(スバル)と日産自動車でデータ書き換え不正が発覚したことを受け国交省が四輪・二輪各社に調査を求めていた。

新車の品質管理のための工場の抜き取り検査工程で見つかった。3社はローラー台上で走行させて排ガスを測る際、速度や測定時間が決められた範囲を逸脱したものを有効としていた。

スズキは2012年以降の6401台で無効な測定値を有効にしていた。抜き取りデータが残っている1万2819台の約半数にあたる。マツダは14年以降の72台、ヤマハ発は16年以降の7台で不適切な対応が判明。スズキとマツダは四輪車、ヤマハ発は二輪車の検査工程で発覚した。

3社ともデータの書き換えは無かったとしている。

燃費・排ガス検査を巡る不正はスバルと日産で起きた。排ガス・燃費のデータ書き換えや、法令で定めた試験の条件を逸脱した事例があった。国交省は7月に輸入車も含めたメーカー23社に同様の事例の有無の調査を要請していた。

3社は9日午後にそれぞれ記者会見を開き概要を説明する(日本経済新聞 2018年8月9日)。

さらに日本経済新聞では、完成車検査について何が問題かということを3つのポイントに絞って考えられています。

完成車検査について問題となる3つのポイント(日本経済新聞より)

2017年秋から自動車メーカー各社で完成車の検査や燃費・排ガスのデータ測定を巡って不祥事が相次いでいます。何が問題だったのでしょうか?

(1)メーカー任せでチェック甘く

2017年9月末、日産自動車で資格を持たない従業員が出荷前の完成車検査をしていた問題が明らかになりました。10月にはSUBARU(スバル)でも同様の問題が発覚しました。国が完成車検査をメーカーに任せた結果、ルールが破られていました。

(2)技量不足でごまかし

2018年3月にはスバルが燃費・排ガス測定のデータ書き換えを認めました。計測データの書き換えや、国の定める試験基準を満たさない事例がありました。日産も7月に同様の問題が明らかになっています。試験の際に車を走らせる技量が不足しているのを隠すためにデータを改ざんした例もありました。

(3)国交省の調査要請で芋づる式に

8月9日には完成車の排ガス検査で、マツダとスズキ、ヤマハ発動機でも不適切な測定が明らかになりました。自主的に見つけたのではなく、国に指導されて行った調査で発覚しました。国内自動車メーカーの半数が完成車検査で何らかの問題に関わる事態となりました(日本経済新聞 2018年8月9日)。

確かに分析の通りだと思います。

これらの問題が大手メーカーに責任があるのはもちろんです。

私たちが忘れてはならないのは、大手メーカーには数多くの協力会社が存在するということです。

その多くが中小企業です。

中小企業は我が国の事業所の99.7%を占める存在。

だから、品質偽装の問題は、私たち国民それぞれが当事者として真剣に考えなければならない問題だと思います。

私なりの見解は以下の記事にも述べられております。

特に何が問題であるかについて、私は中小企業の目線から考えたいと思います。

中小企業目線でみる完成者検査について問題となる2つのポイント

中小企業目線から見解を以下に述べたいと思いますがポイントは2点です。

(1)「いいものを安く」の追求のしすぎで安心・安全が犠牲に
(2)大手メーカーが協力会社や非正規社員さんを大切にしない

そもそも、なぜごまかさなければならなかったのでしょうか?

これは、コスト(価格)に余裕がないからです。

品質基準を満たしていない安い材質等を用いていたことが疑われます。

価格に余裕があれば誤魔化す必要はありません。

我が国メーカーは、品質が良くて、コストも安くて、短納期の製品を大量に生産しようとしてきました。

しかし、それらがそもそも不自然なのです。

その結果、生産の3要素となるQCDをある部分を犠牲にしてまで求めすぎたのです。
(QCDとはQuality(品質)、Cost(コスト)、 Delivery(納期)の頭文字を取ったものです。)

この犠牲になったある部分とは、お客様に対する安心・安全です。

品質、コスト、納期のうち、問題なのはコストだと思います。

コストは敢えて言うならば、お客様にとって価値となるべきです。

これからは少々高くても手に入れたいと思わせる工夫が必要だと思います。

同時に、私は国全体で「いいのもを安く」という価値観を変えるべきだと思います。

大手メーカーだけでなく、私たち消費者にも求められるでしょう。

安いのに安心・安全が保証されることは「不自然」なのです。

そういったものに手を出してはいけないのです。

(2)大手メーカーが協力会社や非正規社員さんを大切にしない

私は大手メーカーが協力会社や非正規社員さんを大切にしていないことも大きな要因であると考えています(本来ならば筆頭に持っていくべき重要なこと)。

私たちが考えなければならないデータがあります。

2017年において、原材料の価格上昇が前年比22.0%であったのに対して、完成品を示す最終財の上昇率が0.5%だったのですが、みなさんはどのように思いますか?

コストを圧縮した「人」は誰でしょう?

圧縮したコストはどこにいったのでしょう?

自動車関係でこれらが実現していたとしたら、協力会社である多くの中小企業ががんばって実現したのです。

コストを必死になって圧縮したのです。

仮に、こんなことがあってはなりませんが、「乾いた雑巾からさらに水を搾り取るような」コストカット要請を協力会社にしていたとすれば、それは間違っていると断言いたします。

必ずサプライチェーンのどこかでしわ寄せが生じるからです。

それがまさに今、わき出たのです。

いいものは適正価格。むしろ高いことが自然であり安心・安全が犠牲になってはいけません

私たちの誰もが「いいものを安く」の経済に慣れてしまい、感覚が麻痺してしまっていると思います。

「いいものは適正価格」が正しいのであり、むしろ高くても購入したくなるような付加価値を考えるべきだと思います。

つまり、価格競争をしないということです。

「人を大切にするいい会社」ではそれが徹底されています。

そもそも、高品質なのに安いというのは不自然です。

時計や車、家電も含めて我が国は高品質で安い商品があふれています。

その一方で、我が国には欧米のような高級ブランドがありません。

これもおかしなことなのです。

「安かろう、悪かろう」が正しいのです。

そうしないと、安心・安全が犠牲になってしまうのです。

今後、国を挙げて取り組もうとしている働き方改革も進みません。

働き方改革で求められる生産性=アウトプット/インプットという公式から考えればわかります。

価格を安くするということは、分子のアウトプットがどんどん低くなるということです。

それ自体避けるべきですし、分母のインプットに該当する生産要素にさらにしわ寄せが生じてしまうのです。

我が国を代表する企業だからこそ、人を大切にする経営を率先して実践して欲しい

大手メーカーは今春大きな利益が出た会社が多いわけですから、協力会社に少しでも還元するべきです。

そうしないと、協力会社の体力がもちませんし、このような問題は永遠に続くことでしょう。

大手メーカーは目先の利益を求める余り、本来いるべき人財がいなくなっているのではないでしょうか?

『資格を持たない従業員が出荷前の完成車検査をしていた問題が明らかになりました』とありますが、そもそも不自然なのです。

コスト削減を重視するあまり、もしかするとその部分は非正規社員さんに任せていたかもしれません。

正社員でない人間が真面目に技術を覚えようとするでしょうか?

覚えようとしないでしょう。

我が国全体で「人を大切にする会社」を増やしていきましょう。

大切にする人とは、社員さんとその家族、協力会社さん、お客様、地域の人(高齢者や障がい者)、株主の「5人」です。

この5人を大切にする経営を実践すれば、品質偽装の問題はクリアできるのです。

繰り返しますが、人を大切にするいい会社は価格競争をしません。

会社にとってかけがえのない『人財』が高くてもお客様から「指名買い」されるような差別化を実現しているからです。

大丈夫でいきましょう!

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