人を大切にするいい会社見つけました

人も、会社も、より良く変われる

2017年8月に『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者であり弊社顧問の坂本光司法政大学教授監修のもと、『人を大切にするいい会社見つけました』が出版されました。

石坂芳男トヨタ自動車顧問(元トヨタ自動車副社長、元米国トヨタ社長)からいただいた推薦文を以下紹介します。

『本書は5つの会社が日々問題点と向き合い、時には危機的状況に陥りながらも自らをより良く変えてきた経営者と社員の物語です。会社が社員を大切にし、かけがえのない存在に育成するからこそ社員は真のやりがいを感じ自己の能力・魅力を最大限に発揮しようとしてくれます。すべては人であり、会社が良くなっていくことに企業規模も業種も関係ないことを改めて痛感させる良書です。』

本書はサブタイトルの『人も、会社も、より良く変われる』が重要なポイントです。誰でもやりがいを感じて働くことができますし、どんな会社でもいい会社は実現できるのです。

5社の概要は以下の通りです(掲載順)。

■株式会社エスバイエス

365日24時間営業ながら社員さんの満足度が極めて高く、有給取得率が100%を超え、かつ、高収益の驚くべき会社。過去最高益を更新中。夢を追ってがんばる社員さんの有給休暇が少なくなったとき、「私の有給休暇をあげられませんか」という提案が社員さんからでてくる仲間想いのやさしい会社。

■三興商事株式会社

「いつも心にありがとう」を経営理念とし社員と家族はもちろん取引先も徹底的に大切にする経営を実践。ひとり一人の社員さんの気付きのレベルの高さは随一であり、日本一の販売実績を誇る商材を持っている会社。「こんなにも自分のことを思ってくれてありがたい」と社員さんから感謝の言葉が聞かれる会社。

■学校法人榛原学園

日本一「ありがとう」を大切にする先生たちがつくり出す幼稚園・保育園。人にやさしく自分に厳しい先生方が「ありがとう」の言葉を通じてより良く変わっていった思いやりあふれる園。

■農業生産法人 株式会社ザ・ネクストワン

有名ハンバーグ店のおいしさをこだわり抜いた野菜と高い技術力で支えている会社。大勢の女性、パート社員さんが大活躍し、若者も自分のやりたい夢を追える会社。例え失敗しても前向きな気持ちさえあれば何度でもチャンスが与えられる会社。

■有限会社トシズ

少数精鋭ながら日本一の水道屋を目指して「利他」の経営を実践する会社。人情厚く涙もろい社長とその社員さんたちが世のため人のために貢献したい意欲にあふれる会社。

本書を通じて一人でも多くの読者の方に「自分たちの会社も、自分たちの働き方も、より良く変われる」と思っていただければ無上の喜びです。
本書はこれから第2弾、第3弾と出版していく予定です。 私たちの周りにはまだまだ知られていないけれど人を大切にするいい会社があります。そのような会社を見つけて世の中に知っていただくことが弊社の重要な務めだと強く思います。 同時に、「人を大切にするいい会社」を地域に増やしていくことも求められます。みなさんの会社をみなさんが主体となって、より良く変えていきましょう。

誰からも「あなたの会社は人を大切にするとてもいい会社だね」と言ってもらえる会社づくりを実現し、働く誰もがやりがいが感じられる働き方ができる会社が地域に増えていけば、これこそが地方創生になると確信しております。

志を同じく持たれている企業のみなさま、本書にご興味を持たれた方、どうぞお気軽にお問い合わせください。

また、2017年10月8日に出版記念講演会を開催しました。休日にもかかわらず多くの方がご参会されました。誠にありがとうございました。出版記念講演会の様子はこちらです。

お問い合わせフォームはこちらです。

以下、選定要因等を本書より抜粋します。

8つの選定要因

本書では5社の企業を選定しました。選定要因は以下の8つです。
(1)人を大切にする経営をしていること
(2)スタッフさんが自ら進んで働く喜びを得ようと努力していること
(3)業績がいいこと
(4)価格競争をしないこと
(5)ローテクであること
(6)組織風土・社風がいいこと
(7)日本一、日本初にこだわること
(8)一般の人に対して知られていないこと

それぞれの選定要因について述べます。

(1)人を大切にする経営をしていること

大切にする「人」とは、社員とその家族、協力会社、お客さま、地域の人や社会的弱者です。簡単に言えば、会社に関わるすべての人を大切にするということです。中でも、社員とその家族を大切にすることは優先順位の筆頭です。

「社員を大切にする」という取り組みは、単に給与や休日等の制度的なものを充実させるということではありません。働く人をかけがえのない人財として尊重し、本人の能力・魅力を常に最大限に発揮して仕事をしてもらうことを通じて幸せにすることです。 幸せとは、「人に褒められ、必要とされ、役に立ち、愛される」ことによって得られます。特に「褒められ、必要とされ、役に立つこと」は仕事を通じて得られます。

その関係を会社と社員、社員同士、協力会社、お客さま、地域の人たちと構築することで真のやりがいとなっていくのです。それらの積み重ねによって給与や休日等の制度面も充実し、やりがいと相まって機能してくるのです。 そもそも仕事というものはどんな内容であれ、必ず誰かの役に立っており、それが感じられることが真のやりがいにつながります。それゆえ、会社は働く人が自分のためではなく、誰かのために役に立つことを念頭に仕事をしてもらうように人を育成することが求められます。 反対に、自分のためだけに仕事をしていると目先のことばかりにとらわれてしまい、働く喜びが見失われていきます。そのような状況の会社では、いくら制度を充実させても機能しないのです。

会社は、働くすべての人が「褒められ、必要とされ、役に立っていること」が社内からも社外からも感じられるように経営努力をするべきなのです。それはすなわち、自ら進んで考え、実践し、チェックし(気づき)、カイゼン(より良く)することができる人を育成することなのです。そのような会社が今回の選定要因となっています。

また、選定された会社は社員の提案を歓迎し、積極的に経営に参画させていることも共通した特徴です。社員の個々の意見を尊重し、権限と責任を与えて仕事をさせます。それは大変なことですが、仕事のやりがいを感じられる源となります。

これが案外難しく、社員に自由な提案を求めていながら全く機能していない会社も非常に多いのです。そういった会社は、社員を大切にしているとは言えませんが、気がついていないことも多いのです。

(2)スタッフが自ら進んで働く喜びを得ようと努力していること

働くすべての人は、会社にとってかけがえのない存在であるべきです。そのために、会社側は働くすべての人を「褒められ、必要とされ、役に立つ仕事ができる人」に育てること=「人財育成(人づくり)」が重要です。

一方で、働く人も「褒められ、必要とされ、役に立つ仕事をするにはどうしたらいいか」を自主的に考え、実践し、チェックし、カイゼンすることが重要です。それは、働く人が自らの魅力・能力を最大限に発揮できるように「より良く自分を変えていくこと」に他なりません。常に受け身ではいけません。さらに、どこまでも能力・魅力を伸ばすように努力することも重要です。

そのように自ら進んでより良く変わろうと努力したからこそ、褒められ、必要とされ、役に立ったことが感じられた時の喜びが格別なものとなるのです。真のやりがいは自ら進んで働く喜びを得ようと努力することで得られるのです。かげかえのない人財とは、そのような人のことを言います。そうした『人財』が活躍する会社だからこそ業績が向上し、給料や休暇等の制度面も充実していくことにつながるのです。

働く人に求められるキーワードは「当事者意識」です。「当事者意識」も難しい言葉です。仕事というものは必ず誰かの役に立っています。自分のためではなく、その誰かになったつもりで考え、より良く自分の行動を変えていくことで仕事はより良質なものになっていきます。

反対に、自分だけの考え方で仕事をしていると、その原理原則から離れていきます。多くの会社で「人ごと感」「やらされ感」「指示待ち状態」で仕事をすることが横行しています。その状態で仕事をしていても働く喜びを得ることは困難ですし、組織の生産性も高まりません。

本書では、以前は当事者意識が弱かった社員でも自身と会社の努力によって変わっていった事例が紹介されています。人はより良く変われるのです。

(3)業績がいいこと

今回選定される5社は業績が高く、経常利益率が10%近い企業ばかりです。過去最高益を毎年のように更新している企業もあります。

『日本でいちばん大切にしたい会社』で紹介されている未来工業さんや伊那食品工業さんの経常利益率が15%前後であることを考えると、今回紹介する企業は非常に業績がいいと言えます。

なお、わが国の企業は、業種ごとに若干の差はありますが、売上高に対する経常利益の割合(経常利益率)がおおむね5%あれば優良企業と言われています。単純に、1億円の売上高の会社で利益が500万円ならば優良企業なのです。「あれ、日本の会社は儲かっていないな」と感じられた方は正しい判断です。前述したとおり、約7割の会社が赤字であることを考えると、業績がいいことはとても大切な指標となります。

ただし、業績を高めるために、社員の給料を削ったり、仕入先や販売先等の協力会社の費用を削ったりする会社は本末転倒です。これらの「人」を大切にするためにも、会社は正しく利益を残すべきなのです。正しく利益を出して税金を支払うことは、地域の税収を増加させ、地域の発展に貢献することにつながります。

わが国の会社の約7割が赤字であることを考えると、税収を増やすには、人を大切にするいい会社を増やすことがいちばんなのではないでしょうか。

(4)価格競争をしないこと

選定された会社は価格競争をしません。同業他社よりも商品・サービスの値段が高くても、お客さまの満足度はそれ以上に高い点が特徴です。無論、その違いを生み出すのは「人財」に他なりません。

価格競争は会社の永続だけでなく、その業界のためにもなりません。安さを競うことをしてしまったら、たくさん売らなければ業績は高まりません。そのためにスタッフの給料を下げてしまったり、協力会社を巻き込んで外注費を減らしたりすることは間違っているのです。そもそも私たちの働く時間には限りがあります。いくら売ってもスタッフの幸せにならない薄利多売の商法に私たちはサヨナラを言うべきです。

本来企業は提供する商品やサービスの質の高さで競うべきであり、それを実現できるのが人財なのです。価格を安くしなくてもお客さまにそれ以上の満足を与えることができれば商品・サービスは売れるのです。企業はそれができる「人財」を育成すべきなのです。

価格競争をしないことは、働き方改革を実現する上で最も大切な要素だと考えます。働く時間に限りがある以上は1円でも高く売り、お客さまにはそれ以上の価値を与えられる人財を育成することが真の経営努力なのです。

安さを売りにしている企業は、人を大切にする会社にはなり得ません。

(5)ローテクであること

選定された企業にハイテクの会社はありません。これは人財が最大の差別化要因になっているためです。また、一概にハイテクが優れていて、ローテクが劣っている訳ではありません。

ハイテクとは、高度な科学技術で、時代の先端にあって関連分野に影響を及ぼすような技術の総称です。ローテクとはそれらと比べて地味な印象を持たれる分野の技術体系全般を指しますが、ローテクであっても人財が差別化を実現しているという意味では極めて高度だと言えます。

選定された企業の人財は、今後どんなにハイテク化が進もうとも負けることはないでしょう。むしろ、業界全体のハイテク化が進むことによってますます差別化を実現すると思います。それだけ「人財」は企業にとってかけがえのない存在なのです。

あらためて企業が生き残る上で重要なのは、「人財」を育成することなのです。

(6)組織風土・社風がいいこと

会社としての組織(公式組織)が成立するためには、共通目的・貢献意欲・コミュニケーションの3要素が不可欠です。人を大切にするいい会社では、これらが高い次元で機能する社風になっています。社員のための経営理念・社是をはじめとして働く人が幸せになるべきだという共通目的があります。

いい会社には、社員同士、協力会社・外注企業、お客さま、地域の人に貢献しようとする強い意欲があり、その結果、質の高い双方向のやりとり(コミュニケーション)が生まれます。もちろん、そこには情報の伝達、連絡、通信の意だけではなく、意思の疎通や心の通い合いも含まれます。さらに、スタッフのがんばりに対する会社からの報酬も、会社からの報酬に対してスタッフがさらにがんばろうとすることも質の高いコミュニケーションです。

また、組織風土・社風は一定の状態ではありません。常に変化します。そして、個人の負の感情が大きくなってしまうことで崩れていきます。会社の風土は油断をすると見る見る悪くなっていきます。企業風土・社風をよくするための取り組みは絶え間ないものです。「これでよし」「これで終わり」ではなく、常に考え、常に行動することが求められるのです。

いい会社では働いているスタッフが忙しい中でこそ、真価が発揮される風土ができています。普通の会社では忙しくなってくると「それどころじゃない」といってせっかく決めたルールが守られなかったりします。これは個人の感情が大きくなっている状態です。

忙しい時こそ決められたことを守ろうという気運がいい会社には生まれます。共通目的、貢献意欲、コミュニケーションの3要素が高い次元で機能するのです。

(7)日本一、日本初にこだわること

いい会社には高い志が必ずあります。日本初であったり、日本一であったりという部分にこだわるのです。商品でもサービスでも、どんな取り組みでも結構です。これは人と企業がより良く変わるためにとても大切なことなのです。今回選定された会社においても何らかの日本一、日本初のものが存在します。

人や企業がより良く変わるためには、「志」や「目的」「あるべき姿」等が不可欠です。さらに、それらを実現するために数々の目標を立てることが重要です。人はつい「平凡でいい」「人並みでいい」「そこそこでいい」「現状維持」といった言葉を好んで使ってしまいます。しかし、それでは何も変わらないのです。

いつしか他力本願になり、やらされ感で仕事をしたり、人のせいにしたりする人ばかりになってしまうのです。仕事のやりがいも感じられません。そのような人たちが集まっている会社も多く存在します。だから風土を変えることも大変です。企業も人も何も変わらずに時が過ぎていくのです。

変わらないことがいちばんのリスクなのです。目的や目標がないとそこに気がつかなくなります。何も変わっていないこと、現状から振り返った時にその目的に合っているかどうか。また、大きな志を持つことができるからこそ、謙虚な姿勢を持てるのです。目標が明確にあり、現状とのギャップを知るからこそ「自分たちはまだまだだ」と謙虚になれるのです。

より良く変わろうとすることがいい会社をつくる源になります。そもそも、すべての物事には目的があるのです。

(8)一般の人に対して知られていないこと

一般の人に知られていないことは本書の重要なポイントの一つです。本書で紹介する5社はそれぞれの業界ではとても有名であっても、一般の方の多くが初めて聞く社名かと思います。

本書では先進企業としてこれまで紹介されてきた会社は選定しませんでした。理由は、たとえ知られていなくても、たとえ小さくても、人を大切にするいい会社が静岡県に確実に存在していることを広く知ってもらいたかったからです。人を大切にしている会社は案外あなたの隣にもあるかもしれないということを感じてほしいからです。人はより良く変われるし、企業も変われるということを知っていただきたいのです。

いまだにいい会社を「知っているか、いないか」というイメージだけで判断してしまうケースが非常に多いのですが、それは勿体ないことです。特に学生の皆さん、学校の先生はイメージだけで判断しないようにしてください。静岡には大手企業以上に働きがいを得ることのできる会社があるのはまぎれもない事実なのですから。

なお、5社の企業は2013年頃から毎週のように訪問し、スタッフの皆さんにヒアリングを繰り返し、データにまとめてきたものです。その間、スタッフの皆さんの意識がさらに高まり、自らの力で組織風土・社風が改善され、過去最高益を記録した企業もあります。

人はより良く変われます。企業もより良く変われます。その本質に迫る内容だと思います。

いい会社はどんな企業でも、誰でも目指すことができる

企業で働くみなさんへ

大切なのは、本書の5社の取り組みを見ていただき、「これなら自分たちでもできそうだ」と思っていただくことです。いい会社を自分たちで実現していこうとする気持ちこそが大切です。

「人は変わらない」のではなく、より良く変わることができます。企業もより良く変わろうとする人財によって変えていくことができるのです。そのためには、目的や「あるべき姿」を常に明確にすることが求められます。「人を大切にするいい会社」というのは、人としての本質を踏み外さずに常に変化・前進をしています。

人としての本質とは、「人として正しいか、正しくないか。自然か、不自然か」で判断されるということです。企業支援の現場にいると、おかしいものはおかしいと言えない組織になってしまっている会社がいかに多いかわかります。組織もベースになるのは、人として正しい行動であることが大前提です。そして、いい会社こそ常に問題点が数多く出てきます。気づきの力が高い「人財」が自ら積極的に問題点を見つけようとするからです。問題点をカイゼンするからこそお客さまのためによりいい商品・サービスを提供できるのです。社内にある問題点も気づいてカイゼンするからこそいい会社になっていくのです。

それにより「褒められ、必要とされ、役に立っている」ことが社内からも社外からも感じられ、やりがいとなります。その絶え間ない取り組みが社風となって定着し、「大変だけど楽しい」と感じられる仕事につながっているのです。もちろん、待遇面も高まっていきます。

反対に、問題点に気がつかなかったり、見て見ぬふりをすることが横行したりしている会社であるならば、まず他責せず、自分から変えていきましょう。その原因をなぜなぜと考え、追求することです。きっと会社の問題も、自分自身の問題も両方出てくることでしょう。そして、自分に何ができるかを考えることです。決して人ごとではいい会社は実現できません。これまでの先入観や思考の癖にいかに邪魔されていたか気がつくことができれば、あとは「あるべき姿」に向かって行動あるのみです。

ぜひともいい会社を増やして、明るい静岡を実現できればと願っております。人はより良く変わることができます。企業もより良く変わることができます。

行政のみなさん

本書で紹介した会社は大手企業や行政機関ほどの制度は整っておりません。しかし、働いている社員は大きなやりがいを感じています。 行政の皆さんは、社員のための制度を整えることがいい会社への近道だと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。大切なのは、制度ではなく、制度が機能する社風なのです。制度が機能する組織風土・社風を作るように進めない限り、せっかくの制度も「絵に描いた餅」で終わってしまいます。

そのためには社員の方も仕事の本質を考え、人ごと感、やらされ感なく仕事に取り組むことが求められるのです。 制度面について中小企業目線でみると、行政機関で働いている皆さんは大変恵まれています。しかし、なぜこうもやりがいを感じられない方が多いのでしょうか。行政で働いている人は一人一人が素晴らしく、尊敬すべき方も多くいます。しかし、それが生かされていない組織になっています。

県民、市民を見ているようで見ていません。県民や市民からのクレームを恐れるばかり、仕事の本質が失われているような気がしてなりません。大切なのは、クレームが出ない仕事をすることではなく、そもそもの行政の仕事の目的と想いを行動にぶつけることだと思います。なぜなら、それが県民や市民の真のニーズだからです。言ってみれば、行政らしくない仕事をすることが県民や市民のニーズにいちばん応えることだと思います。

仕事の本質とは、仕事は必ず誰かの役に立っているということです。行政の皆さんにとっては、その誰かとは、県民であり、市民です。県民、市民から役に立っていることが実感できる仕組みをつくるべきなのです。クレームは成功の元となります。 それは先入観やそれまでの思考の癖・習慣が邪魔をしているのです。それよりも、明るい将来をつくる方を優先するべきでしょう。

行政の皆さんは、そこに住んでいる人への究極のサービス提供者です。これは未来永劫変わることはありません。そして、働いている皆さんがやりがいを感じ幸せに働くことが、より質の高い行政サービスにつながるのです。 行政の皆さんも本書で紹介した企業にぜひ足を運んでみてください。県民、市民の圧倒的多数が働いている民間の企業で何が起きているか知ることは、自身の仕事のやりがいに必ず結びつくことでしょう。

人を大切にする本物のいい会社をサポートし、世の中に紹介するサポートをしてください。これが地方創生の結論であると思っています。

学生のみなさん

本書で紹介した5社は働く社員が大手企業以上のやりがいを感じられる会社です。前向きな方ならば、この本で紹介した企業で活躍できることでしょう。自分の能力・魅力を十分に発揮することで自分の人生の充実にもつながることでしょう。また、そうした会社を自分で見つけてみてもいいでしょう。

人は誰しも安定を求めたくなるものであり、学生の皆さんも安定志向が根強くあるかもしれません。しかし、人間は平坦なグラウンドをぐるぐる回るような人生を過ごすようにはできていません。どんな人でも振り返れば山あり谷ありです。

それが目前にあれば誰もが抵抗を示すと思いますが、それをプラスにとらえ、どんな山に登りたいか、「あるべき姿」を明確にすることからスタートしてみてもいいでしょう。その起伏が大きければ大きいほど、人としての魅力もあふれる人になっていると思います。ぜひ入社した会社で全力で仕事に取り組んでください。自分の魅力・能力を100%発揮できる人はどの会社でも大切に扱われるはずです。

変わらないことがいちばんのリスクであることを踏まえて挑戦してほしいと願っています。

私たちの努め

静岡にはまだまだ知られていないけれど人を大切にするいい会社があります。それらを見つけて世の中に知っていただくことが私たちの務めです。

同時に、「人を大切にするいい会社」を静岡県に増やしていくことも求められます。今皆さんが勤められている会社をよりいい会社に変えていきましょう。

いい会社ほど問題点が出てきます。どんなに優秀な人財でも一日働けば問題点が出てきます。それらに気づき、見て見ぬふりをしないでカイゼンすることができる人が人財であり、そうした人財を増やすことがいい会社づくりには必須です。

正しいことを正しいと言える会社。誰かの役に立つために誠実に働いた人が正当に評価される会社。そういった会社は誰でもつくることができるのです。克服しなければならないのは、無意識に「できない」と思ってしまう先入観や思考の癖です。

そのような会社が世の中に増えていくことがいい世の中づくりにつながると確信しています。人はより良く変われるし、会社もより良く変われます。

あとがきより

企業支援の現場で日々生きている弊社にとって、本書のサブタイトルである「人も、会社も、より良く変われる」ことは最も大切な目標であり、達成すべきミッションであります。

しかし、より良く変わることに対して意識が弱い人が多いことも事実です。
企業支援の現場では未来工業さんや伊那食品工業さん、トヨタ自動車さんの事例を紹介することも多いですが、より良く変わろうとしない会社の社長や社員さんは決まって次のようにいいます。

「それは未来工業さんだからできる」「伊那食品工業さんだからできる」「トヨタだからできる」と。 これは自分たちが本気で変わろうとしないことに対して言い訳しているのです。

未来工業さんも伊那食品工業さんも今でこそホワイト企業ならぬパールホワイト企業として著名な会社ですが、はじめから順風満帆な会社ではありませんでした。未来工業さんは六畳二間の借家で4人の社員とたった一台の射出成形機から、伊那食品工業は倒産寸前の赤字の会社を塚越会長が社長代行として任されてから、より良く変わっていったのです。

トヨタ自動車も、人も集まらない、機械もない、お金も無い時代から危機感と前向きな気持ちを共有し、より良く変わっていったのです。 今回紹介した5社も、順風満帆な会社はひとつもありません。失敗を繰り返し「このままではいけない」という危機感を共有しながら一つ一つの問題点をカイゼンしていったのです。常に前向きな気持ちを持って。そしてその根本には「人を大切にする」ことが貫かれていました。 それらのより良くなっていったプロセスを見て欲しいのです。

経営にも人生にも必ず危機があります。将来を見通したとき、なるべく危機は回避したいと思うのが当然です。しかし、それを予期して完璧に準備できる人はごく一部です。 多くの方にとっては危機的状況になったときこそ真の力が発揮されるのです。つまり、危機はより良く変わるチャンスなのです。 どんな人も一日24時間です。そしてどんな人も働ける時間に限りがあります。条件が同じである以上、誰でもいい会社を実現できるはずです。

人はそれが大切なことだと認識しながらも、あるときは自分を正しい人間だと思い込み、あるときは問題を見て見ぬふりをしてしまいます。結果ばかりを追いかけ、そのプロセスは軽んじられてしまいます。どうしても人はイメージで評価をしてしまいますが、一度定まった評価はなかなか払拭できません。

より良く変わろうとしないリーダーの元で働く部下はかわいそうです。これまで「何も変わっていない」と部下を酷評する社長もいました。そういう社長の下にいるスタッフさんはかわいそうです。そのような環境下で自分に備わる能力・魅力を最大限に発揮できるわけがありません。 そもそも仕事は必ず誰かの役に立っています。誰かというのは、社内の仲間、社外のお客さまや地域の人です。仕事のゴールは自分のためにではなく、誰かのためであるはずです。誰かに褒められ、必要とされ、役に立っている事が実感できたときにやりがいとなるのです。そのために常に自分を良く変えていくことが求められるのです。

本書はこれから第2弾、第3弾と出版していく予定です。人を大切にする経営を実践し、人も企業もより良く変わっていく様子は多くの人に「自分たちでもできる」と思ってもらえるでしょう。静岡だけでなく、全国にも展開していきたいと考えています。 人を大切にするいい会社を増やし、世の中に知ってもらうことがいい世の中づくりに繋がると確信しています。

本書の出版にあたり、実に多くの方に支えていただきました。このような機会を与えてくださった静岡新聞社の皆さん、ありがとうございました。

日頃からお世話になっているクライアント企業の社長とスタッフの皆さま、静岡県庁の皆さま、弊社に「あるべき姿」を示してくださる伊那食品工業塚越会長と井上社長、未来工業山田社長、でんかのヤマグチ山口社長、並びに各社社員の皆さま、弊社の顧問であり、いつも私を支えてくださっている坂本光司先生、石坂芳男トヨタ自動車顧問、小森治カイゼン・マイスター社長にはこの場を借りて改めてお礼申し上げます。

弊社スタッフもよくがんばってくれました。
本当にありがとう。

人を大切にするいい会社が静岡に、そして全国に増えていくことを心より願っております。

株式会社リッチフィールド・ビジネスソリューション
代表取締役 富田哲弥