ハラスメント(パワハラ・セクハラ・モラハラ)

マタハラについて・・・子供ができてすみません?

「子供ができてすみません」に対して「叱責」?

毎日新聞に女性保育士の旦那さんと思われる方が投稿されたコラムが元となり議論を呼んでいます。

以下、毎日新聞を引用いたします。

 愛知県の私立保育園で、運営に支障をきたさないためとして園長が女性保育士の結婚時期や妊娠・出産の順番を決めていることが、議論を呼んでいる。保育士の一人が順番から外れて妊娠。「子供ができてすみません」と謝ったが、園長に「勝手にルールを破った」と叱責されたという(毎日新聞 2018年4月1日)。

元となるコラムは以下の通りです。

結婚して8カ月、今年の1月に妻の妊娠がわかりました。
妻は保育士で、とても忙しい園に在籍しているため、不安で浮かない顔をしていました。
妻の保育園では、結婚の時期、妊娠の順番まで園長に決められていて、「先輩を追い抜くことは駄目」という暗黙の了解があるようでした。不安な表情の妻を見ていられず、私は妻と一緒に園長先生に頭を下げに行きました。「子どもができてすみません」
園長は渋々認めてくれたものの、翌日から妻に対して「どうして勝手にルールを破るのよ」と、つらい言葉を投げかける日々が続いています。妻は激務の仲間のことを考え、肩身の狭い思いでいます。今回、計画的ではなかった私たちにも非があるのは重々わかっています。しかし子どもを産む順番が決められ、それを守ることは一体誰のためになるのでしょうか……。
保育士は、皆さんが仕事に行っている間、他人の子どもを預かり、親に代わってしつけや作法を教えています。行事のために多くの仕事や作業を家に持ち帰り、時にはサービス残業をして、土、日曜日に働くこともあります。残業代も出ない給料で、やりがいのためだけに他人の子を育てます。
保育士は、自分の子を犠牲にしてまで他人の子どもを育てます。保育士は、日本の将来を担う子を育てる尊い職業です。
私は、そんな妻を尊敬し、応援しています。子どもを育てる職業がこんな環境であるこの国は子育て後進国です(毎日新聞 2018年2月28日「男の気持ち」コラムより)

議論の中心は「これはマタハラではないか?」ということです。

マタハラについては、デジタル大辞泉には以下のように記されています。

マタニティー・ハラスメントとは
職場などでの、妊娠・出産に関するいやがらせ。妊婦に直接いやがらせを言ったりしたりするほか、妊娠を理由に自主退職を強要する、育児休暇を認めない、妊娠しないことを雇用の条件にするなどの行為も含まれる。マタハラ。

みなさんはどのように思われますか?

このような話は珍しくなく、むしろ普通に聞かれます。

きっとみなさんの周りでも普通に聞く話ではないでしょうか。

特に、学校の女性の先生にとっては日常だと思います。

実際に私も、校長先生や上司の先生から「彼氏をつくらないで欲しい」「2年間は結構しないで欲しい」と言われたことを女性の先生から聞いてます。

言われた方が「嫌な気持ち」になれば、それは限りなくマタハラになります。

それゆえ、嫌な気持ちにならないようなコミュニケーションの取り方を追究することが本質なのではないかと思います。

問題は、言った方が(自分が)マタハラをしている意識がない点です。

これは、パワハラ等にも共通します。

だから、リーダーは責任重大なのです。

リーダーのさりげないひと言で、部下は救われますし、モチベーションがアップします。

しかし、リーダーの何気ないひと言で、部下はモチベーションがダウンするのです。

難しいですが、私たちは前に進まなければなりません

ぜひ、それぞれの立場で考えてみましょう。

園長先生の態度に対して、一方的に「けしからん!」と思う人もいるかもしれません。

もちろん、リーダーとしての責任は重大です。

しかし、これが即マタハラになるかという点については、慎重になるべきだと思います。

リーダーにとって、大切な人財が一時でもいなくなることは、いちばん避けたいことです。

だから、順番等のルールを決めた気持ちが痛いほどわかるのです。

それが「けしからん!」ということになってしまったら、ここまで進んだ女性活躍推進はまた元に戻ってしまうことでしょう。

なぜなら、女性を採用しずらくなるからです。

そこだけを切り取ってイメージで判断することはとても危険です。

この園長先生は、女性はやがて子供を産むものだという現実を「見て見ぬふり」をしなかったからこそルールを決めたのだと思いますが、さらに一歩進んで、それでもいつ何時誰でもその立場になるかもしれないという心構えと、やさしさと、相手を尊重する気持ちを持って前に進んでいけば違った結果になったと思います。

相手を尊重し合えば防げることが多いのでは

上記の記事は、リーダーとしての心遣いがもう少し園長先生にあれば、防げたと思います。

ポイントは以下の2点ではないかと思います。

〇ルールは強制的であってはならない
(対策:近い将来、自分たちで納得できるルール・指針を自分たちでつくることが重要)
〇お互いがお互いを尊重する気持ちを忘れてはならない
(対策:お互いに助け合う社風づくりを推進することが重要)

記事では「暗黙のルール」という点にひっかかりますが、これは明記するべきでしょう。

きっと園長先生は、幼稚園を守る責任感と仕事の穴を空けたくないという強い思いからこのようなルールを決めたのだと思います。

それは痛いほどわかりますが、強制であってはいけません。

「できれば守って欲しいけれど、その限りでは無い」ということを明記し、かつ、先生方に伝えるべきだと思います。

元気な子供を安心して産めることが、これから子供を持とうとする親(女性保育士の先生)にとっていちばん大切なことだと思います。

それは園長先生もわかっているはずです。

人としてのそもそもを考える

子供ができた人に対して「おめでとう」と祝福しない人はいません。

もしそのように思わない人がいたら、大きな問題です。

園長先生もきっとそのように思っているはずです。

そうでなければ、人としてはもちろん、教育者としても、リーダーとしても、ふさわしくないと思います。

一方で、仕事に穴を空けてしまうことに対して「すみません」と思わない人もいないでしょう。

だからこそこの夫婦は「すみません」と言ったのだと思います。
(ルールを守れなくて言ったことも含まれます)

「すみません」と言ったこの夫婦は素晴らしい心配りをされたと思います。

これもとても大切な事だと思います。

子供ができることは、いつか来るべきおめでたいことがやってきたのであり、素晴らしいことです。

この「あるべき姿」は未来永劫変わりません。

おめでたいことなのですが、仕事に穴を空けてしまうことが現実あります。

これは「仕方のないこと」です。

しかし、そうだと言って、関係者の方に「何も言わなくていい」とはならないと思います。

「みなさんに負担をかけてしまって、すみません」という気持ちは、心配りそのものです。

それができることは、とても素晴らしいことであり、人として大切なことなのではないでしょうか。

もちろん、この気持ちも強制的ではなく、自ら進んでなれることが重要だと思います。

「おめでとう」と祝福する状況と「すみません」と言わざるを得ない状況のふたつがあり、片方だけの視点で見ないことが大切

今回の件で、「すみません」なんて言わなくていいという風潮もきかれます。

私は、それはちょっと違うのではないかと思うのです。

「子供ができてよかったね、おめでとう!」と職場の誰もが祝福してくれるはずです。
(もちろんリーダーたる園長先生の心配りは必須です)

反面、職場のみんなの負担が大きくなることは「すみません」なのです。

この対照的な現実を、両方の視点で見るべきだと思います。

その後、子供を産んだ方が復帰されたら、会社側は「復帰してくれてありがとう」です。

そして、復帰した女性社員さんは「私がいない間、みなさん協力して仕事をしてくれてありがとう」という気持ちが大切です。

「そんなの当たり前だから必要ない」となってしまったら、会社にある制度(育休、産休、有給等)が機能しなくなるのです。

制度というものは、「当たり前」になってしまうと機能しなくなります。

生産性やモチベーションが下がりますし、制度自体が活用されなくなります。

制度を機能させるためには、個々「ありがたい」と思うことであり、「ありがとう」の気持ちを現すことなのです。

そうした組織風土を構築することが必須です。

これは、企業支援の現場からみなさんに伝えたい結論です。

お互いを尊重することができないからこそマタハラになる

お互いが尊重する気持ちが失われているからこそ、マタハラの問題は解決しないのだと思います。

行き着くところはコミュニケーション不足です。

ちょっとした心遣いができないところで感情的なしこりになってしまうのです。

ここを乗り越えないと、私たちは戻ってしまいます。

それは、「出産という人間にとって最も大切なステージがある女性が社会で働くことは難しい」というところに戻ってしまうのです。

そもそも、経営者やリーダーの視点と、働く側の視点は一緒になることは困難です。

しかし、相手を尊重することはできるはずです。

そこが最大かつ最善の歩み寄りなのではないかと実感しています。

これまでの時代は、あまり必要とされてこなかったかもしれません。

しかし、これからの時代は、そこから一歩進んで、お互いが相手を尊重することは不可欠なのです。

相手への感謝の気持ち、尊重があれば(お互いに)、マタハラの問題は大分解決すると思います。

みなさんの職場でもぜひ実践してみてください。

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