『いいものを安く』から脱却しましょう

2018年夏ボーナス4.62%増、82.9万円。前年比増は6年連続

大手企業は好業績で大幅増目立つ

働くみなさんにとっても、企業支援する私たちにとっても、ボーナスの動向は大変気になるところです。

2018年夏のボーナスについて、日本経済新聞の調査結果が出てきました(中間集計)。

それによりますと、2017年夏と比較して4.62%の増加で、支給額は82万9786円ということです。

前年比増は6年連続です。

支給額も4年連続で80万円を超えました。

リーマン・ショック前の2008年の83万1896円に次ぐ高さです。

全体の伸び率は、バブル崩壊後では好業績が相次いだ2014年の9.06%増に次ぐ高さです。

以下、日本経済新聞の記事を引用いたします。

日本経済新聞社が20日まとめた賃金動向調査で、2018年夏のボーナス(8日時点、中間集計)は支給額が17年夏比4.62%増の82万9786円だった。前年比増は6年連続。純利益が2期連続で過去最高となった企業業績の拡大が背景にある。人材の獲得競争は企業の規模や業界の垣根を越えて激しくなっている。ボーナスも横並びを脱し、大幅に引き上げる動きが目立ってきた。

回答企業のうち、17年夏と比較できる199社を中間集計としてまとめた。最終集計で増減などが変わる可能性がある。

全体の伸び率は、バブル崩壊後では好業績が相次いだ14年の9.06%増に次ぐ高さ。上場企業の18年3月期の純利益が前の期に比べ約3割増と大きく伸びたのが要因だ。支給額も4年連続で80万円を超え、リーマン・ショック前の08年(83万1896円)に迫った。

17年夏に5年ぶりの前年比減に転じた製造業は4.91%増え、全体を押し上げた。支給額は89万2702円だった。

好業績を背景としつつも、思い切ったボーナス増に踏み切る例が目立つ。支給額で首位のソニーは27.02%増の166万8500円と過去最高になった。構造改革に取り組む間、一時金は低く抑え、16年の夏ボーナスは97万6250円だった。

18年3月期の純利益が10年ぶりに最高益となったのが主因。賃上げも合わせた年収で前年比5%増とする狙いは、成長に向け社員を鼓舞するとともに、外資も注力する人工知能(AI)などの技術者争奪戦に打ち勝つためだ。

AIや自動運転などの革新(イノベーション)があらゆる分野に広がり、人材獲得は業界内や大手同士だけでなく異業種間、大手とベンチャー間の競争になっている。業界や企業規模による横並びを脱して待遇改善に踏み切らなければ、後れをとるとの危機感が強い。

電機とともに革新の大波にさらされる自動車。3位のトヨタ自動車は9.91%増の133万円だった。18年3月期は原価低減に力を入れ、単独営業利益が大幅増となった。4位のホンダも10.75%増の121万5000円で、「優秀な人材の獲得のために待遇改善が欠かせない」とする。

大手だけではない。静岡市の中堅工作機械メーカー、スター精密は45.07%増の155万5173円で、支給額と増加率がいずれも2位。要因は好調な業績と、17年冬に導入した新たな業績連動制度だ。業績が一定以上の場合はボーナスを上乗せする。「社員の士気を高めるため」という。

一方、非製造業は62万8131円で3%増にとどまった。5年連続の増加だが、17年夏(13.81%増)に比べると増加率は10.81ポイント低下した。人手不足が深刻なスーパーなどが採用を増やした結果、支給額が低い若手の比率が高まり、平均額が下がったようだ。

18年の春季労使交渉(春闘)を受けた非製造業の賃上げ率(最終集計)は2.50%と製造業(2.23%)を上回った。固定費が増えても待遇を改善し、人手確保を図る。

18年の春闘に際し、安倍晋三首相は3%の賃上げを呼びかけた。全体の賃上げ率は2.31%にとどまったが、ボーナスと合わせた年収の増加率は3%に達する可能性も出てきた。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「緩やかではあるが、落ち込んでいた個人消費の改善につながるだろう」と話す(日本経済新聞 2018年5月20日)。

なお、「中堅企業」として静岡市のスター精密さんのことが載っておりますが、従業員さんの数が532名(2018年2月28日現在)、資本金が127億2千1百万円であり、中小企業目線で申し上げれば大変立派な大手企業です。

製造業の場合は従業員数が300人以下、或いは資本金が3億円以下の場合は中小企業となります。

景気のいい話は大歓迎ですが、中小企業で働く人たちにとっては?

これらを裏付けるものとして、先日はトヨタ自動車が2018年3月期に過去最高益を更新したことを紹介しました。

景気のいい話は大歓迎です。

しかし、私たち中小企業で働くものにとって、景気回復の実感はどうなのかという所が最も気になるところです。

そして、なぜ実感が無いのかということも、答えは明白です。

いつも申し上げておりますとおり、これらの統計結果は大手企業のものが大部分であり、中小企業はほとんど含まれておりません。

その割合についておさらいしましょう。

我が国の事業所の99.7%が中小企業だからこそ

我が国の事業所の99.7%が中小企業です。

働く人の約7割が中小企業で働かれています。

つまり、上記の夏期ボーナス中間集計は、わずか0.3%の大手企業のものなのです(一部中小企業も含まれているかもしれませんが)。

3割弱の方々が働いている大手企業の結果なのです。

これらのいい状況を、いかに国内の中小企業にまで波及させるかが重要な課題です。

まずは、その差額について見てみましょう。

支給額に関しては456,786円の差(予測)

この度のものと、先日の今夏ボーナスの予測と大きく乖離していることを意識して欲しいと思います。

先日(4月23日)は、民間企業1人あたりのボーナスの平均支給額は、前年比1.8%増の373,000円となる見通しであることを紹介しました。

中小企業に勤めている方は、先日の結果が最も実感に近いと思いますので、どうぞこちらをご覧ください。

これは、厚生労働省が『毎月勤労統計調査』でまとめる従業員数5人以上の事業所のボーナス支給額の予測です。

従業員数5人以上ですから、小規模企業も含まれております。

先日は1.8%増で支給額が37万3,000円、今回は4.62%の増加で支給額が82万9786円です(どちらも確定した数字ではありませんが)。

単純に支給額に関しては456,786円の差があります。

これが大手企業と中小企業の差です。

この差は妥当であると考えます。

なぜなら、1000人以上の規模の大手企業と5~29人規模の企業のボーナスの差が40~50万円ほどあるからです。

以前、弊社でまとめた夏のボーナスの企業規模別グラフを以下に示します。

大手企業のみなさんは、改めて協力会社への利益の還元をお願いいたします

大手企業のみなさんには改めて協力会社への利益の還元をお願いしたいと思います。

そして、人を大切にする経営を実践して欲しいと願います。
(大切にする人とは、従業員とその家族、協力会社、お客様、地域の人(高齢者、障がい者)、株主の5人です。)

また、協力会社のみなさんは、さらなる協力会社への還元をお願いしたいと思います。

それができてようやく末端の中小企業までお金がめぐっていくことになります。

元請企業の利益は、協力会社さんの努力があってこそです。

今こそ還元してあげて欲しいと願っております。

また、これまでの商習慣で協力会社に負担を強いていたものがあれば、ぜひとも見直しをかけて欲しいと思います。

中小企業は、元請企業の担当者の一言で価格競争に巻き込まれやすい状況です。

例えば、消費税はこれまでもかなり価格競争の材料とされてきました。

税込みが税込みでないかで全く利益が異なってきます。

元請側は、間違っても消費税分をおまけしろとか負けてくれとは言ってはなりません。

もし、企業間取引の中でそんなことが横行している商習慣があったとしたら、今すぐにやめるべきです。

それでようやく普通の状態です。

そこから、この度の利益を還元して欲しいのです。

私たちは国全体で目先のことではなく、少し先のことを考えなければなりません

我が国は、デフレ経済からの脱却が命題です。

そのためには、大手企業だけがいくら給料をアップしても我が国全体からすると少数です。

我が国労働者の7割に相当する中小企業で働く人たちの給料をアップしていかなければならないのです。

それは、三つの深刻な問題が控えているからです。

①人口減少社会であり若年者が増えないこと(減る一方)
②若年者の半分が親の収入を頼っていること
③2025年には6割以上の経営者が70代を超えること

安心して子供が産めて育てることができる国にしていかなければ、我が国の子供はどんどん減っていくことでしょう。

今のままでは若者が増えることはありません。

減る一方なのです。

2025年の我が国の人口ピラミッドをご覧ください。

それらを防ぐためにも、若年者の給料も高めて、若者が安心して子供を産み、育てられる国づくりをしていく必要があります。

その若年者も多くが中小企業で働いています。

また、「いいものを安く」を私たち消費者が求めることも考えなければならないと思います。

これは難しいかもしれませんが、価値観を変えていく必要があると思います。

「いいものは高くて当然」「安かろう、悪かろう」が正しいのです。

企業は価格競争をしてはいけません。

『人財』が高付加価値のサービスを競う合うべきなのです。

その中心にいるのは、中小企業です。そして働く人たちです。人財を育成し、高付加価値の商品・サービスの提供をしていきましょう

価格競争から脱するためには、私たち中小企業は高付加価値の商品・サービスを提供することを徹底していくべきです。

絶対に価格競争に巻き込まれるようなことがあってはなりません。

そして、その中心にいるのは『人財』です。

人財が例え高くてもお客様に喜ばれる商品・サービスを提供するのです。

これは今後も人が人らしく暮らしたいという気持ちがある限り、変わることはないでしょう。

そのためには、当事者の立場になって考え、その人から言われる前に気付き、危機感を持って行動できる「人づくり(人財育成)」が不可欠です。

人を大切にするいい会社では、経営努力の筆頭にこの「人づくり」があります。

それは、今後AIとの競争にも巻き込まれないものであるはずです。

もうひとつの大きな問題は、いい会社が求める人財像と教育の現場の人財像に大きな差があること

しかしながら、もうひとつの大きな問題点を提起します。

それは、教育(学校、家庭、地域での教育)がそこに追いついていないということです。

いい会社が求める人財像と、教育で育成しようとする人財像に大きな乖離があることを実感しています。

なぜなら、優秀な若い人財がいい会社に入社してもすぐに辞めてしまうケースが後を絶たないからです。

これは企業規模を問いません。以下の記事をご覧ください。

若者たちの多くが求めている仕事(面倒くさくない仕事)は、やがてAIに取って変わられてしまうことに気付くべきです。

この価値観も変えていかないと若者の給料は伸びていかないでしょう。

ボーナスの話からここまでお話をいたしました。

全てが繋がっていることを実感いたします。

私たちは目先のことではなくて、少し先を見た会社経営、働き方や生き方、教育をしていくべきだと思います。

大丈夫でいきましょう!

■2018年6月15日追記
6月14日に経団連が2018年夏のボーナスの1次集計結果を発表しました。

経団連に所属する大手企業の夏ボーナス平均額は前年比6.71%増の96万7386円となり、過去最高の結果となりました(1959年の調査開始以来)。

詳しくは以下の記事をご覧くださいませ。

■2018年6月27日追記

6月21日に大阪シティ信用金庫さんが今夏の中小企業ボーナスの調査結果を発表しました。

1人当たりの支給額の平均は262,570円、支給率は59.6%でした(調査対象は大阪府の中小企業)。

着目すべきは「支給しない」が約4割、過去20年間ボーナスの支給額自体が上がっていない2点です。

詳しくは以下の記事をご覧いただければ幸いです。

■2018年7月12日追記

7月11日に日本経済新聞社から2018年夏ボーナスの最終集計が公表されました。

全産業の平均支給額は4.2%増の83万755円でした。

企業業績の拡大を受けて6年連続で増加し、支給額はリーマン・ショック前の2008年(83万1896円)に迫った点も着目すべきです。

以下の記事をご覧ください。

  1. 人と会社・企業

    トーハンさんの各地区で「突出して売れている本」の特集で第3位に
  2. モチベーション・やりがい・仕事の喜び

    谷島屋書店さんの今週の総合ランキングで第1位に掲載されました
  3. 人として正しいか正しくないか、自然か不自然か

    この1ヶ月間、静岡新聞「今週のベストセラー」で3回紹介されました
  4. モチベーション・やりがい・仕事の喜び

    『人を大切にする~』が谷島屋書店さんの総合ランキングで第2位に
  5. 人と会社・企業

    大館市福原淳嗣市長とお話しさせていただきました
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