『いいものを安く』から脱却しましょう

中小企業の2018年夏ボーナス「支給しない」が40.4%(大阪)。支給額は20年間上がらず

大阪シティ信用金庫さんの中小企業の夏期ボーナスについて調査結果が公表されました

私たちが働く上でボーナスが上がるか下がるかはモチベーションに大きく影響します。

自分のがんばりの見える化でもあり、ボーナスの増加はやりがいを感じる一瞬でもあります。

今年の夏のボーナスの統計が続々と出ています。

6月21日には大阪シティ信用金庫さんの中小企業夏期ボーナスについての調査結果が公表されました。

私自身、この調査結果を大変心待ちにしていました。

なぜかというと、全国で実施される同様の調査の中で最も中小企業の実情を示したものであるからです。
(その他の調査ももちろんそれぞれ価値がありますので、誤解のないようにお願いします。)

それによりますと、1人当たりの支給額の平均は262,570円(昨年夏比0.7%アップ)、支給率は59.6%でした。

以下、日本経済新聞の記事を紹介いたします。

大阪シティ信用金庫が21日に発表した中小企業の夏季ボーナス支給状況の調査によると、支給すると答えた企業の割合は59.6%で昨年夏より0.3ポイント減少した。割合の減少は3年連続となる。一方、1人当たりの支給額の平均は26万2570円と1814円増え、ほぼリーマン・ショック前の水準にまで回復した。

支給すると答えた企業のうち、人材確保の観点などから「いくらか無理をした支給」と答えた割合は16.0%で昨年より8.1ポイント減少した。ただ、小売業は11.0ポイント増の28.6%、運輸業は5.6ポイント増の25.0%となるなど業種によっては厳しい状況がうかがえた。

大阪シティ信金は「支給できる企業とできない企業で二極化している」と分析する。調査は6月上旬に実施。大阪府内にある同信金の取引先企業1093社が対象で、有効回答率は94.0%だった(日本経済新聞 2018年6月21日)。

大きなポイントを以下ふたつあげます。

〇「支給する」が59.6%、「支給しない」が40.4%です。
〇過去20年間ボーナス支給額がほとんど変わっていない(上がっていない)

支給率が6割である以上に、支給額が上がっていないという点も大変気になります。

これらについて、以下なるべくわかりやすく述べていきたいと思います。

大手企業(経団連所属)との差額は704,816円。大阪シティ信用金庫さんの調査結果は私たち国民の実態を最も示すものであると言えます

上記したとおり、私自身この調査結果を心待ちにしていました。

大阪シティ信用金庫さんの調査結果を私が素晴らしいと思う理由は以下の3点です。

〇調査対象が中小企業であること
〇回答率が高いこと
〇支給しない割合を明確にしていること

そもそも論ですが、我が国事業所の99.7%が中小企業です。

働く人の約7割が中小企業で働いています(中小企業の定義等は以下をご覧ください)。

しかしながら(みなさんは意外に思われるかもしれませんが)、中小企業のみが調査対象となっている統計は本当に少ないです。

それゆえ、大阪シティ信用金庫さんの調査結果は数少ない中小企業の実態をあらわしていると言え、大変貴重なのです。

今回も素晴らしい調査をしていただいたことを、中小企業を支援する立場から心よりお礼申し上げたいと思います。

大阪シティ信用金庫さんの2018年夏ボーナス調査結果

整理しなければならない点は、大阪シティ信用金庫さんの調査結果は大手企業を含まない中小企業だけのものですから、それだけ数値が低くなるということです。

これは、大阪の企業が特別低いのではなくて、中小企業が調査対象であるからです。

おそらく中小企業だけに調査対象を絞って全国で調査をすれば、大阪と大差ない傾向になると思います。

参考として、先日紹介した民間シンクタンク5社が予想したものを振り返ってみましょう。

この予想では、民間企業1人あたりのボーナスの平均支給額は、前年比1.8%増の373,000円となりました。

詳しくは以下をご覧ください。

この予想は、厚生労働省が実施している『毎月勤労統計調査』等を参考としています。

『毎月勤労統計調査』は常時5人以上の労働者を雇用している約190万事業所から33,000事業所を抽出して実施されます。

中小企業も多く含まれますが、大阪シティ信用金庫さんの調査結果(262,570円、前年比0.7%増)よりも数値が高い(373,000円、前年比1.8%増)傾向にあるのは、いくらか大手企業が含まれることが要因であると考えられます。

その差額は、373,000円-262,570円=110,430円となります。
また前年比1.8%増の予測に対して0.7%増となっています。

大手企業と中小企業の数字の違いは以下の記事をご覧いただければ幸いです。
(大手企業を中心としたボーナスの予測および統計です。)

大手企業の数字は中小企業目線からするととんでもない数字に見えます。

この度の経団連所属の大手企業は1959年の調査開始以来で最高の結果(96万7386円)となりました。

経団連の大手企業と中小企業(大阪シティ信用金庫さんの調査結果)との差額は704,816円となります(967,386円-262,570円)。

しかし、中には大手企業並みのボーナスが出ている中小企業もあることを付け加えたいと思います。

2018年夏のボーナスの支給率は約6割。1998年から20年間の支給率の推移で、最も高いのは1998年の93.8%。最も低いのは2012年の49.4%

大阪シティ信用金庫さんの調査結果では、支給率が明確に示されています。

全体では「支給する」が59.6%、「支給しない」が40.4%です。

「支給しない」とは「少額手当(ボーナスは支給できないが、少額の手当を出す)」と「全くなし」のふたつからなり、前者が31.4%、後者が9.0%となりました。

以下、2018年夏ボーナスの支給企業割合です(出典:大阪シティ信用金庫様)。

業種別では製造業が最も支給率が高い結果となりました。

反対に、小売業では支給率が最も低く、「支給しない」が52.3%で、さらに「全くなし」が18.2%ありました。

また、中小企業でも規模が大きい企業で支給率と支給額は高くなります。

以下、業種別、規模別の平均支給額です(出典:大阪シティ信用金庫様)。

さて、大阪シティ信用金庫さんの調査結果では、1998年からボーナスの支給率の推移が示されています。

ポイントは以下の通りです。

〇支給率が最も高いのは1998年の93.8%
〇最も低いのは2012年の49.4%(冬ボーナスでは2011年の49.0%)

現在は約6割の支給率ですが、かつては50%を切ることもありました。

改めて中小企業の現状に驚かされることでしょう。

以下、支給率の推移をグラフで示しましたのでご覧ください(冬の状況も示しています)。

今後ボーナスの支給率がが90%を超える時が再び訪れるでしょうか。

また反対に50%を切ってしまうときが来るのでしょうか。

ちなみに、2017年冬のボーナスもほぼ同様の支給率でした。

詳しくは以下をご覧ください。

さらに以下は、2010年の夏ボーナスの状況です。

この時から半数近くボーナスが出ない状況が2013年夏まで続きました。

もしボーナスが出ないのならば、なおさら月々の給与を充実させることが求められます。

そのためにもデフレ経済からの脱却が命題です。

過去20年間夏のボーナスが上がっていない・・・まさに失われた20年では?

もうひとつ大阪シティ信用金庫さんの調査から、とても興味深い結果が示されました。

1998年から今年までのボーナス平均支給額が掲載されていますが、なんとこの20年間夏のボーナスに大きな変動が認められないのです。

ポイントを以下の4点にまとめました。

〇この20年間の平均額は259,601円
〇最も支給額が高かった年は1998年で271,000円
〇最も支給額が低かった年は2011年で252,789円
〇最高と最低の差額である18,211円の範囲で過去20年間推移

以下、支給額の推移をグラフに示しましたのでご覧ください。

グラフからこの20年間、支給額自体に大きな変化がないことが見てとれます。

以下、時系列表です(出典:大阪シティ信用金庫様)。

私たちが強く意識をしなければならないのは、中小企業では過去20年間ボーナスの支給額自体が上がっていないという点です。

この20年間のボーナス支給の平均額は259,601円です。

最も平均支給額が高かった年は1998年の271,000円です。

最も低かった年が2011年で252,789円です。

その差額は18,211円です。

中小企業の夏ボーナス(大阪府)は、過去20年間その差額の範囲内で推移しているのです。

改めて驚かされます。

この間、中小企業の経済成長が夏のボーナスに関しては確認することが難しいのです。

まさに失われた20年であると言わざるを得ません。

デフレから脱却できない状態であることがわかるでしょう。

この結果は多くの方に知って欲しいと思います。

なぜ、私たち中小企業で働く国民が景気回復の実感が得られないのか、この結果からわかるからです。

そして、国全体で何をしなければならないのかを考えなければなりません。

私は「いいものを安く」を追い求めた私たちひとり一人に責任があると思います。

価格競争を展開し、協力会社にギリギリまでのコストカット要請をする大手企業はもちろん大きな社会的責任があります。

協力会社の多くが中小企業であるからです。

しかし、「いいものを安く」を求めた私たち消費者にも責任があるのです。

この夏のボーナスは適正なものかどうか・・・「適正な範囲での支給」が84%。小売業と運輸業で「いくらか無理をした支給」という回答が目立つ

さて、今夏のボーナスに戻ります。

大阪シティ信用金庫さんでは、「ボーナスを支給する」と回答した企業(59.6%、612 社)に対して、この夏のボーナス支給は自社の収益状況に照らして適正なものかどうか実態を聞いています。

全体でみると、「①ほぼ適正な範囲内での支給」と答えた企業が84.0%となりました。

これに対し、「②士気高揚や人材確保の面も考慮し、幾らか無理をした支給」と答えた企業は16.0%となっています。

以下、2018年夏ボーナスの支給実態です(出典:大阪シティ信用金庫様)。

大阪シティ信用金庫さんは、以下のように考察されています。

これを昨年の調査結果と比較すると「①ほぼ適正な範囲内での支給」と答えた企業は8.1 ポイント増加しており、今夏にボーナスを支給する企業においては収益が改善していると思われる。

ただし業種別にみるとバラツキも認められます。

ただし業種別にみると、「②幾らか無理をした支給」と答えた企業は建設業(9.6%)が昨年に比べ16.1 ポイントと大幅に減少したのをはじめ、各業種が減少を示すなか、小売業(28.6%)は11.0 ポイント、運輸業(25.0%)では5.6 ポイント増加しており、厳しい状況がうかがえる。

小売業と運輸業で厳しい状況がうかがわれるといった部分は私も体感しております。

決して余裕がある中での支給ではないことは多くの方に理解して欲しいと思います。

大阪シティ信用金庫さんの調査結果を多くの方に見て欲しいです

私たち国民の景気に関する最も大きなニーズは、「景気回復の実感があるか、ないか」です。

そして私たちの多くが「実感がない」と思っています。

以下の記事を参考としてください。

なぜ景気回復の実感がないのか、今回の大阪シティ信用金庫さんの調査結果でも明らかになったと考えます。

中小企業において過去20年間ボーナスの支給額がほとんど変わっていない訳ですから、景気回復の実感はあまり持てないのです。

これでさらに増税されたら、手取額は減るわけですから生活が豊かにはならないでしょう。

アベノミクスは、大手企業や株関連には確かな効果があったと思います。

これについては、正当な評価をするべきです。

しかし、その恩恵を受けるのは限られた方々なのです。

このことをわかって欲しいと思います。

中小企業にその効果を波及させることがこれからの政治に不可欠でしょう。

どうか、政治家の先生方、官僚のみなさま、地方の最前線で働かれる公務員のみなさま、学校の先生方も含めて、これらの結果を見て欲しいと思います。

繰り返しますが、我が国企業の99.7%が中小企業です。

そして、働く人の7割が中小企業に属しているのです。

デフレ脱却は命題です。

そのために、「いいものを安く」といった価値観からの脱却が私たち国民に求められると思います。

企業は、かけがえのない「人財」を育成し、価格ではない部分でお客様に喜ばれる商品・サービスを開発・提供し続けることです。

つまり、「人を大切にする会社」を増やしていくことです。

大丈夫でいきましょう!

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