大手企業の働き方改革の進捗・・・残業時間の上限規制は7割が対応完了と回答

  1. ワーク・ライフ・バランス 働き方改革

大手企業の進捗状況は

2019年4月から施行される働き方改革関連法で、企業の対応の進捗に差が出ていることが「社長100人アンケート」で明らかになりました。

残業時間の上限規制については、7割が対応完了と回答したようです。

有給休暇制度の取得義務化は4割弱と言うことでした。

以下、日本経済新聞の記事を引用いたします。

2019年4月に主要部分が施行になる働き方改革関連法で、項目によって企業の対応の進捗に差が出ている。「社長100人アンケート」で残業時間の上限規制について7割が対応完了と回答したが、有給休暇の取得義務化は4割弱にとどまった。働き方改革に力を入れる経営者は多いが、人手不足が深刻な現実もあり、苦慮しているようだ。(1面参照)

6月に成立した働き方改革法は長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現などを目指し、残業時間の上限規制や、正社員と非正規社員の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」の導入などを柱とする。残業時間の上限規制は、当初は大企業のみに適用するという条件がつき、多くの項目は19年の4月1日に施行となる。

働き方改革法全般に対し、自社の対応状況への認識を聞いたところ、「完了している」「おおむね完了している」という回答が合計で77.1%に達した。「対応できていない」はゼロで、「あまり対応できていない」が2.8%だった。

項目ごとにみると、状況は異なる。対応が完了していると考える項目をすべて選んでもらったところ、単月で100時間未満、年720時間を上限とする残業時間の規制と、産業医の機能強化についてはいずれも70.8%で最多だった。

働き方改革関連法で努力義務となった、仕事を終えてから次の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の導入は34.7%だった。有給休暇の取得義務化に対しては、36.8%にとどまった。

勤務間インターバルは欧州で普及しており、日本ではKDDIやヤマト運輸などが導入している。政府は20年までに導入企業を10%以上にする目標を掲げるが、厚生労働省が6400社(従業員30人以上)を対象に17年に実施した調査では導入済みは1.4%だった。

有休5日間の取得義務化は、対応が完了していないと考える項目の中でも49.3%と最も多かった。日本の有休取得率は50%前後で低迷している。人手不足もあり、有休が取りにくい職場風土の改革には難しさを感じている経営者が多い。富士通は18年度から管理職以上に平日5連休を取得することを義務化するなど、各社は取得率向上策に知恵を絞っている。

対応が完了していると考える項目で最も少なかったのが、高収入の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(脱時間給制度)」の創設だった。具体的な適用対象者を決める議論が始まったばかりで、5.6%にとどまった。

同一労働同一賃金は大企業で20年4月、中小で21年4月に導入が求められる。対応状況は「完了している」「おおむね完了している」が合わせて45.9%で、「対応できていない」「あまり対応できていない」の計7.7%を大きく上回った。

第一生命経済研究所の的場康子主席研究員は「残業時間の上限規制への対応の優先順位が高く、手いっぱいな企業が多いようだ」と指摘。有給休暇については「どの職場も人手不足感が強く、まだ義務化が進んでいないのではないか」とみている(日本経済新聞 2018年10月22日)。

みなさんはどのような感想を持ちましたか?

「対応が完了していないと考える項目」でもっと多かったものは「有休5日間の取得義務化」でした。

「対応が完了していると考える項目」の中で最も少なかったものは、高収入の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(脱時間給制度)」の創設でした。

このふたつは表裏一体であると言えるかもしれません。

高収入の専門職を労働時間の規制から外すことができれば、有休5日間の取得義務化も進むことでしょう。

もちろん、非常に困難であり、目先のことにとらわれたら進まないと思います。

そもそも働き方改革は人口減少が背景にあります。

この問題を改善しつつ、少なくなっている労働力をいかに補い、生産性を高めていくかが本質です。

私としては、こうした本質を見失わずに、少し先を見ていくべきだと考えます。

働き方改革は目先のことでは無く、人口減少(特に若者が減っていること)を防ぐことに繋がるべきです。

そのためにもすべての企業に求めたいことがあります。

難しいことはわかっておりますが、我が国全体の生産性向上のために「価格競争をしない」「いいものを安くを実現するために協力会社を巻き込まない」という項目も今後入れて欲しいと思います

我が国の生産性は、欧米に比べて低く、特に米国の2/3です。

下記を参考としてください。

欧米に比べて我が国は「働く時間が長い反面で生産性が低い」わけです。

生産現場の効率化は客観的に見ても世界一だと思っておりますが、なぜでしょうか?

考えられることはひとつです。

それは「いいものを安く」のやり過ぎです。

働く時間を短くして生産性を高めるためには、「価格競争から脱すること」が必須なのです。

大手企業がそれをしなければ、協力会社の多くを占める中小企業も業績は高まらないのです。

もし価格競争をするならば、絶対に譲れない条件があります。

それでも価格競争をするならば絶対に譲ってはいけない条件があります

それは、協力会社を巻き込まないで元請企業が単独で低価格かつ良質な商品・サービスをつくると言うことです。

そうすれば、協力会社だけは価格競争から脱することができるでしょう。

ところがそれは不可能です。

そもそも、原材料費が上昇したら、それに伴って協力会社が元請企業に納める商品の納入金額も上昇することが「あるべき姿」です。

しかし、我が国経済ではその「あるべき姿」が実現されていません。

2017年は原材料費が22%アップしたのに対して最終財は0.5%に留まりました。

これはとても不自然なことなのです。

今年は大手企業は軒並み好業績であり、中には過去最高益を記録した企業もあります。

利益をつくりだしたのはサプライチェーンの中のどこかを明確にする必要があるでしょう。

人を大切にするためにも価格競争をしないこと

人を大切にするいい会社は、協力会社を大切にします。
(働く社員さんとその家族を大切にすることは当然です)

決して理不尽なコストカット要請をしません。

それができるのは、価格競争をしない経営をしているからです。

販売価格が同業他社よりも高くても、お客様に喜ばれる経営努力をしているからです。

人財が差別化を実現しているからです。

価格競争が激しくなればなるほど働き方改革は進まない

未だ「価格競争は企業の重要な経営努力だ」と言う方が少なくありません。

しかし、もし価格を安くしたら、その分販売個数を増やさないと売上高は伸びません。

そのためには商品をたくさんつくらなければなりませんが、時間がいくらあっても足りません。

原材料が高くなったらその分最終財の価格も高くなればいいですがそのようにもなっていません。

労働力人口が減り、働く時間が減らそうと働き方改革を進めようとする我が国において、これらは本末転倒です。

残業するほど忙しいけれど、会社の利益がでていないといった状態に陥ってしまう企業が増えるのです。

売上高がいくら伸びても利益がでなければ社員さんの給料を高めることはできません。

価格競争をしたら、儲からない企業が増えるのです。

協力会社の業績が伸びなければ、そこで働く社員さんの給与も高まりません。

特に、若い世代に対しては、不安なく子供を産み育てられるよう賃金面を充実させることが大切です。

そうしなければ、人口減少は防げないのです。

また、「安くていい商品」はたちまち売れなくなり市場に余ることでしょう。

再び企業は価格を下げて販売しようとしますが、それ以上の販売個数を得ることは至難の業です。

このようなデフレ経済の中では働き方改革は進まないのです。

言うまでもありませんが、こうした状況の中で実施される「消費増税」は働き方改革の足かせとなります。

安さを競い合い、協力会社に必要以上にコストカットと高品質を要請して実現した商品・サービスが正しいとは思えません。

価格が0に向かっていく経営に明るい将来があるはずがないのです。

真の経営努力は、「1円でも高く販売し、お客様にはそれ以上の付加価値を実感してもらうこと」なのです。

同一労働同一賃金についても

同一労働同一賃金については半分弱の企業で対応が進んでいるようです。

同一労働同一賃金については、以前、そもそもの目的を明確にする重要性等を述べました。

この制度は、標準化が図りやすいものや、今後はAI化できるものが多ければ多いほど進むことでしょう。

しかし、人が差別化を図る部分に関しては進みにくいでしょうし、逆にそうあってはならないと思います。

「社長100人アンケート」は我が国を代表する大手企業の社長の回答です。

そして、働き方改革の本質は我が国の事業所の99.7%を占める中小企業にもあるのです。

ぜひともどの会社も生産性の向上に努めて欲しいと願います。

そのために最も本質的なことをぶれずに実施しましょう。

それは価格競争から脱することです。

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