TBSのドラマ『下町ロケット』・・・もし佃製作所のような会社をつくるならば

  1. ワーク・ライフ・バランス 働き方改革

佃製作所のような会社を実際につくれるでしょうか?

TBSのドラマ『下町ロケット』に多くの方が感動されたと思います。

前回の最終話では、平均視聴率が16.6%(関東地区)と今期最高を記録したそうです。

新年2日のスペシャル番組がとても楽しみですね。

さて、主人公佃公平が社長を務める佃製作所は、視聴者のみなさんからみてもいい会社に見えることでしょう。

中小企業診断士の私から見てもとてもいい会社です。

今日は佃製作所の魅力について述べていきたいと思います。

本作品はフィクションですから佃製作所は架空の会社です。

このような会社は世の中にあるわけがないと思ってしまう方もいるでしょう。

しかし、佃製作所のような会社を目指すことは十分可能です。

実際に世の中には佃製作所に負けず劣らずの会社があります。

社員さんが幸せに働いている会社があります。

では、どうすればそういった会社を目指せるのでしょうか?

そのポイントについても、これまでの企業支援の経験から簡単に述べていきたいと思います。

佃製作所は驚くほど高収益、高収入。社員さんの年収は1,000万円を超えている?

佃製作所とはどのような会社なのか振り返ってみたいと思います。

原作で明らかになっている佃製作所の会社情報は次の通りです。

■売上高:100億円ほど
■社員数:200人ほど
■資本金:3,000万円

業種は製造業(精密機械製造業)です。

製造業の場合は、資本金が3億円或いは従業員数300人以下ならば中小企業にカテゴライズされます。

したがって、佃製作所は中小企業です。

次に、社員さんの年収を想像してみましょう。

売上高対人件費率を25%とします(一般的な製造業の大まかな平均)。

すると、社員さん1人あたりの平均年収は1250万円となります。

おどろくほど社員さんは高収入です。

仮に、売上高対人件費率が20%ならば、平均年収1,000万円です。

これでも高収入ですね。

もし、人件費率が30%だとしたら年収1500万円です。

これは完全に大手企業で働かれている社員さんと同等以上の高収入になります。

いずれにしても佃製作所は高収益、高収入なのです。

ただし、売上高が主要取引先の脱落によって一気に下がればその限りではありません。

そのためのリスクヘッジをかけることが佃社長の経営上の課題となっているのです。

このあたりがドラマのストーリーの根本になっていますね。

佃製作所はブランド力が高く価格競争をしないことが高収益の秘密

なぜ上記のような高収益が達成されているのでしょうか?

それは人財が高付加価値の製品を作り出しているからだと思われます。

ロケットのコアとなるテクノロジーを国を代表する大手企業の帝国重工に提供している訳ですから、佃製作所のブランド力は極めて高いのです。

それは営業面でも極めて有利に働き、価格競争から脱することを可能にしているのではないかと思います。

安く作って欲しいという元請企業の要望に対しても屈することなく自分たちの強みを主張する事ができるのです。

むしろ、これを頑なに守ることが「ロケット品質・佃プライド」なのだと思います。

このように金額が高くても納得してもらえるブランド力が構築されていることが社員さんの給料の高さに繋がっていると思います。

また、私は敢えて申し上げたいのですが、佃製作所は年俸制ではなく年功序列制度が機能しているのではと思っています。

それは、佃製作所が「人を大切にするいい会社」であると想定した上です。

年功序列制度と言っても基本給は同業他社よりもかなり高いです。

ベテラン社員さんが光り輝いている会社。

それに引っ張られて若手も自分のやりがいを見つけられる会社。

目先のことではなく、本質を追究している会社。

そんな気がしています。

価格競争に巻き込まれないよう、人財が知恵を出し差別化を実現することが貫かれている点がポイントです。

佃製作所の強みは?どこまでも前向きな佃社長の姿勢が最大の強み

そもそも、佃製作所の最大の強みはなんでしょうか?

技術力でしょうか?

それとも財務力でしょうか?

確かにそれらも大切ですが、私は以下の3つがベースとなってこれらが発揮されていると思いました。

〇どこまでも前向きな佃社長
〇貢献意欲にあふれた社風
〇フラットなコミュニケーション

特に、佃社長の前向きな姿勢こそが最も大切であると実感しています。

佃社長はロケットの技術者として前職で活躍されていました。

そして、ロケットの打ち上げに失敗し、1度は挫折しました。

その挫折の経験が佃製作所の飛躍に繋がったのです。

「どんな難問にも必ず答えがある」

これが佃社長の行動指針です。

だから、問題点に対して「BAD NEWS FIRST!」なのです。

これが「ロケット品質・佃プライド」という社是をささえるものになっています。

技術力の核には、製造部の山崎部長との絆があります。

また、社員さんも社是を愚直に目指そうとしているのです。

会社に培われた技術力はこうした姿勢を貫いてきたことで得られたものではないかと思います。

その姿勢は中途の社員である軽部や島津にもいい影響をもたらしています。

人をどこまでも大切にする佃社長

佃社長の前向きさの源には人を大切にする姿勢が貫かれています。

不器用ですが、それがまた素晴らしいのです。

今回のドラマでも社員に何かあれば真っ先に駆けつけます。

殿村元経理部長が実家の田んぼが壊滅的ダメージを受けた時も「戻ってこい」と言います。

また、社員と一緒になってボーリングを楽しむ姿勢もなかなかできることではありません。

佃社長は誰かの役に立ちたい想いを人に伝えています。

また、よく見ると、本音と建て前が入れ替わっていることに気が付きます。

きれいごとを本音で言っているのです。

ここが経営者の資質としてとても重要な部分です。

人を大切にするいい会社の経営者の方々も、きれいごと(あるべき姿)を本気で言っています。

「社員を大切にする」といったことは、もしかすると多くの方が「そんなのきれいごとだ」と実感されているかもしれません。

しかし、本気なのです。

もちろん「あるべき姿」と「現実」の間には様々な問題点があります。

それらの問題点を明確にして、カイゼンを繰り返し、常に近づこうとしているのです。

佃社長もまた同じであると実感しています。

貢献意欲にあふれ、前向きな意見を自由に言えるフラットな社風であることがうかがわれる

佃製作所の強みは貢献意欲とコミュニケーションにも現れています。

その源はフラットな社風・組織風土が形成されていると言うことです。

これも佃社長が日頃から仲間や取引先に意見を求める姿勢を貫いているからだと思います。

佃社長が会議室の前にひとりで座っていて、社員達と対峙して話し合う場面があります。

佃社長は「遠慮無く意見を聞かせてくれ」と言いいます。

現実の世界では、このように社長が言っても何も意見が出てこないケースが少なくありません。

前向きな意見がいいにくい社風になってしまっているのです。

ところが、佃製作所は社員の多くがそれに答えて遠慮無く意見を言えます。

これはなかなかできることではありません。

これは佃社長に傾聴力があるからだと思います。

無下に部下の提案を否定することはありません。

日頃の場面でもリーダーが部下に圧力をかけたり、否定したりする雰囲気はありません。

問題点に対して見て見ぬふりをせず、前向きに自分の意見を言える雰囲気がつくられているようです。

これは佃社長の姿勢「どんな難問にも必ず答えがある」が社員さんに浸透している証拠です。

その姿勢が貫かれているのです。

また、社員さんは自主性を重んじられていますから、強制的に報告・連絡・相談が行われている様子もありません。

自主的なコミュニケーションが貫かれているのです。

ただし、会社が何かをしてくれるのではなく、自分たちで進めていかなければならない厳しさがあります。

また、誰かが困っていたら助ける風土も構築されています。

貢献意欲にあふれているからこそ、ピンチに陥っても盛り返すことができるのです。

これは、現実でも『人を大切にするいい会社』に共通する特徴です。

佃製作所もここぞという時に一致団結する強さがあります。

軽部が「残業だぁ」と盛り上がっていましたね。

なお、製造現場に関しては、整理・整頓・清掃・清潔の4Sが行き届いているようです。

これもいい会社に必須の取り組みです。

気になる年間休日は?

佃製作所は技術力の高い会社です。

高付加価値の製品を設計開発し生産しております。

少品種多量生産ではなく、多品種少量生産或いは変種変量生産に対応していると思われます。

したがって、余程のことが無い限り、2~3交代での夜勤はないものと思われます。

以上のことから、佃製作所は完全週休二日制で、年間休日は120日くらいではないかと想像します。

しかし、そのようになったのはこの10~20年くらいの間でしょう。

社員さんの平均年齢は40歳前後で、男女の比率が8対2ほどではないかと感じられます。

今後の組織面の課題としては、女性がもっと活躍できる会社にしていきたいと思っている事でしょう。

実際に、島津やアキといった女性が活躍しています。

今後、子育てをする女性社員が増えてくると思われます。

そうなるよう、社員さん達が知恵を出しあい、いい会社を実現していくことでしょう。

あともうひとつ重要な点は、後継者問題です。

佃社長の後を継ぐ人財の育成が急務です。

もし佃製作所に転職したら?注意して欲しいこと

もしみなさんが佃製作所に転職したら、注意して欲しいことがあります。

或いは、佃製作所のような会社をつくる上でも大切にして欲しいことがあります。

それは、佃製作所で働くことは決して「楽(らく)」ではないということです。

しかし、「楽しい」会社であることは間違いありません。

それを自分で見つけられるかが鍵なのです。

佃製作所は社員さんの自主性を重んじています。

それゆえ、上司から強制的に命令されることはありません。

だからと言って、それに甘んじていたらいい仕事ができません。

仕事も楽しくないでしょう。

「指示待ち人間」では活躍できないと思われます。

がんばった分は必ず評価される会社であると思われます。

もしこれらが理解されていないと、働く人によってはブラック企業だと判断されてしまうかもしれません。

なぜブラックになるのかは、私は「やらされ感」で仕事をしていまう点にあると思っています。

こうなると、どんなにホワイト企業であってもブラックな働き方となります。

この部分を意識することができれば、佃製作所で活躍することができるでしょう。

佃製作所以上の会社とは

現実の世界でも佃製作所以上の会社が存在します。

佃製作所に勝るとも劣らない中小企業もあるのです。

そして、そうした会社はつくれるのです。

業種も製造業だけではなく、卸売業であっても、小売業であっても、サービス業であっても可能です。

それらの中で、筆頭の会社をふたつご紹介します。

長野県にある伊那食品工業さんと岐阜県にある未来工業さんです。

この2つの会社は、ホワイト企業ではなく「パールホワイト企業」と呼ばれています。

なぜそのように呼ばれているかというと、徹底して社員さんを大切にする経営を実践しているからです。

一方、社員さんも人に喜ばれる仕事をするために自分の能力・魅力を最大限に発揮しようとします。

ここがポイントです。

誤解を恐れず申し上げますが、私は「人を大切にするいい会社」において「楽(らく)な働き方」だけをしている社員さんを見たことがありません。

そもそも仕事は必ず誰かの役に立っている・・・その原理原則を踏み外さず、自分事(当事者意識)で人が喜ぶことを考え、実行し、振り返り、カイゼンする訳ですから大変です。

なお、「大変だけど楽しい」が人を大切にするいい会社の社員さんに共通している認識です。

きっと佃製作所もそうだとおもいます。

次から次へと難問が降りかかってきますが、それを乗り越える度にいい会社になっているはずです。

以上、佃製作所のような会社をつくるためのポイントを簡単に述べました。

ぜひみなさんも佃製作所以上の会社をみなさんの手でつくっていただければと願っております。

それは十分可能なのです。

そうした会社が増えていくことが世の中のためにもなります。

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