七つの会議・・・どんな組織でも起こりうる不正をどうするか?

  1. 社会(政治・経済等)が企業や私たちにどんな影響を与えるか

『七つの会議』は企業エンターテインメントであり、私たち働く人への重要なメッセージ

池井戸潤先生原作、福澤克雄監督による話題の映画『七つの会議』を見てきました。

このおふたりによる映像作品は、半沢直樹を皮切りにルーズヴェルト・ゲーム、下町ロケット、陸王、下町ロケット2と続いており、どれもとても面白いです。

本作の主演は能楽師の野村萬斎さんで、「居眠りハッカク」と言われている八角係長を演じます。

映画を見た感想をひとことで言えば「とても面白かった」でした。

俳優の演技が最高に素晴らしく、作品に引き込まれました。

内容的な面白さは、半沢直樹や下町ロケットとはまた違ったものがありました。

そして、現実の生き方や働き方、組織について考えさせられる内容でした。

映画全体が見所ですが、簡単に見所と魅力について述べたいと思います。

見所1:ハッカクが次第に変わっていく姿。そして野村萬斎さんの演技力。

主人公であるハッカクは万年係長です。

大事な営業会議中いねむりをするなど、営業一課の足を引っ張るぐうたら社員と思われています。
(しかし冒頭の会議では居眠りをしながら原島の話を聴いていました。)

それが徐々に得体の知れないベテラン社員として見られるようになります。

かつての協力会社と再び取引を再開したことで、リベートを受け取っていると疑われます。

職場の活性化のために女性社員の浜本が提案し、試験的にはじめたドーナツの無人販売でも犯人として疑われていました。

しかし、浜本のノートを一目見て「ドーナッツ泥棒は水曜日に来るようだぜ」という姿に、ただ者ではないことをうかがわせました。

新田と浜本との関係もハッカクは知っていました。

ハッカクと関わった坂戸、佐野、新田は次々と飛ばされてしまいます。

坂戸の後に営業一課の課長を任された原島は、ハッカクがかつて相当の実力者だったことを知ります。

現在のぐうたら係長は表向きの姿で、裏では非常に正義感が強い男であるゆえの葛藤があることがわかってきます。

これがハッカクこと八角の本当の姿なのです。

20年前の事件をきっかけに、ハッカクは「逃げる」ようになってしまったのです。

「今回ばかりは許すわけにはいかない。絶対に。」

それがハッカクの本作における最終形態です。

「もう逃げるのはいやだ。」

そして闘いに挑みます。

映画が終わるころにはハッカクの格好良さだけが残りました。

半沢直樹とはまた違った魅力を持った主人公を見事に演じきった野村萬斎さんはさすがだと思いました。

スクリーンに映し出されるハッカクは、これが野村萬斎さんかと思うほど表情が違いました。

日頃テレビ等でおみかけする野村萬斎さんと同じ人には思えないほど表情が違うのです。

これは野村萬斎さんの演技力のすごさであり、本作のいちばんの魅力ではないかと思います。

見所2:組織に逆らうのがこんなに怖いとは・・・の場面

物語のクライマックスは御前会議がありました。

ハッカクは自分が所属している会社(東京建電)と親会社(ゼノックス)の不正に絡んだ人間を追い詰めます。

見事、不正を暴いたように見えました。

しかし、最後はゼノックス社長徳山にも裏切られる形になります。

「この会議に議事録は存在しない」と。

ゼノックスも不正を隠蔽することに決めたのでした。

親会社のゼノックスは、御前会議が行われている間にハッカクの会社に現れ、証拠となる書類等をすべて持って行ってしまいました。

しかし、ひとつだけ北川部長の部屋に落ちていたネジを見落としていました。

証拠となるネジを持って、北川部長がハッカクにいいます。

「組織に逆らうのがこんなに怖いとはな」

ネジを持った右手が大きく震えています。

「しかしこれはオレたちのノルマだ」
「部長としての最後の仕事だ」

北川部長はハッカクに言います。

「ああ。何としても成し遂げなければな。」

北川部長から差し出されたネジを受け取りながらハッカクも言葉を返します。

こうしたやり取りがグッと胸に迫ります。

20年前に運命が大きく分かれましたが、お互いに認めていることが伝わってきました。

道は違ったけど、お互い心を殺して20年働いてきた点は共通しているのです。

東京建電では実質No.2の北川部長も親会社ゼノックスの前では無力です。

お土産に用意したドーナツをゼノックスの常務梨田に冷たく潰されてしまった姿が可愛そうでした。

その葛藤も見事に描かれていました。

北川部長は香川照之さんが演じました。

香川照之さんの演技力も大きな魅力です。

半沢直樹で演じていた大和田常務とは全く異なるキャラクターでした。

原因:不正が繰り返される組織風土・体質をつくったのは

不正の指示が東京建電であったのは、20年前に親会社のゼノックスから出向してきた梨田がきっかけです。

同時にそれはハッカクと北川部長の出世レースの分岐点となりました。

この時の梨田は、強烈なノルマを社員に課し、改ざんの指示までしていたのです。

しかも、「自分は指示していない」と平気で言うずる賢さもありました。

パワハラはもちろんです。

自分の指示通りに動かなければ「必要ない」と切り捨てます。

切り捨てられたハッカクは心を殺したまま20年仕事をしてきました。

出世レースに勝利したように見える北川部長も心を殺したまま20年仕事をしてきました。

こうしたことは絶対にあってはならないことです。

今の時代ではなおさらです。

誕生して間もない東京建電の組織風土や体質の元をつくったのは、親会社から出向でやってきていた梨田でした。

梨田は東京建電での実績をひっさげてゼノックスに返り咲きます。

それ以降も不正は繰り返されたのです。

親会社の体質が子会社や協力会社の不正を生んでいるとしたら、直ちに親会社の組織風土を改善しなければなりません。

しかし、改善することなくトカゲのしっぽ切りを梨田に対して実行したゼノックス社長徳山も問題です。

梨田は御前様と言われるゼノックス社長徳山の犠牲者なのかもしれません。

もしかすると、現実の世界においてもこのようなことが認められるような会社が存在するかもしれません。

「安く作らなければ生き残れないとしたら、誰かを犠牲にしてもいい。データを改ざんしてもいい。」

そんな経済・経営は絶対に間違っています。

「いいものを安く」の今のデフレ経済の問題はここにあるのではないでしょうか?

「あるべき姿」は会社が世の中を先導し、いい会社となり、いい世の中をつくっていくことです。

そのために会社は人を大切にしなければならないのです。

親会社は、子会社はもちろん、協力会社で働く人を大切にしなければいけないのです。

現実の世界:ハッカクのようなベテラン社員さんが案外多いのでは?また北川部長のような方も。

会社のやり方や不正に目をつむることができず、実力はあるのに出世レースから外れてしまったベテラン社員さん。

一方で、不正に目をつむり出世の道を走ってきたベテラン社員さん。

こういった方は結構いらっしゃるのではないかと思います。

ハッカクは前者です。

会社の不正と自分自身を許すことができず、以来会社ではやる気の無いような態度を見せ続けていますが、裏(本音)では誰よりも会社のことを心配しているといったベテラン社員さんです。

その対象は常に人に向かっています。

「人の命がかかってるんだぞ!」

ハッカクの凄みは正義感の現れです。

こういったベテラン社員さんは、案外どの組織にもいるのかもしれません。

また、北川部長のように心を殺して不正に手を染めてしまっているベテラン社員さんもいるかもしれません。

不正に流されてしまった方もいるかもしれません。

「不正は絶対に暴かれる」

ハッカクが言うとおりです。

会社の常識が世間の常識とズレてしまった時に、不正は起こるものなのです。

それが積み重なってしまえば、最後にはもはやどうすることもできないほどの致命的なエラーとなってしまうのです。

今、そのような組織が目立っていませんか?

ハッカクのメッセージ:「不正はなくならない」

私が勝手にテーマを決めるとしたら、次のとおりです。

〇どこの組織でも、どの人間でも起こりうる不正をどうするか?

〇さらに、その状況が目の前にきたらどうするか?

働く全ての人が直面する問題です。

人を犠牲にしてまで組織ぐるみで不正や隠蔽を繰り返すといった問題が作品全体を貫いています。

最後にハッカクは言います。

「不正はなくならない」と。

会社を藩に見立てて、日本人の独特さを述べるハッカク。

それについてどうすればいいかと語ったハッカク。

言い続けることで、もしかすると少なくなるかもしれないと言ったハッカク。

これらのメッセージは重く、私の胸に響きました。

おそらく、働いている方々も多くが共感するのではないでしょうか。

私たちは、現実の世界における組織の不正や不祥事、理不尽さに対して「組織はそういうものなのだ」と納得してはいけないと思います。

それは正しくないのです。

正しくないと言い続けなければいけないのです。

何よりも、正しくあろうとする人が、組織の不正の犠牲になってはいけないのです。

いい世の中にしていくためにも。

『七つの会議』の魅力は伝えきれませんが、ご覧になっていない方は「ぜひとも」劇場に足を運んでいただければと思います。

私ももう一度見に行きたいと思っています。

最後、原島から会議に参加するように言われたハッカクは次のように言って笑います。

「居眠りの時間だ」と。

ここにも深いメッセージが込められていると感じました。

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