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人手が不足しているという回答は全体の48.8%
静清信用金庫が静岡県の中小企業を対象にした調査を行いました。
静岡県の中小企業は人手が「不足している」と回答したのは全体の48.8%でしたが、前回調査よりも9.5ポイント低下しました。
今後の懸念材料は「人財の確保」依然としてトップでしたが、前回よりも11.2%下がったようです。
以下、情報源として日本経済新聞の記事を引用いたします。
静清信用金庫(静岡市)が静岡県内の中小企業を対象に7月に実施した企業景況・動向調査によると、人手が「不足している」との回答は全体の48.8%で、1月の前回調査に比べ9.5ポイント低下した。7月としては3年ぶりに50%を下回った。
今後の懸念材料は「人材の確保」(64.5%)が首位だったが、前回比11.2ポイント下がった。「企業の関心事は人材育成に移りつつある」(経営相談部)という。
設備投資については39.0%が「不足」としたが、1年以内に実施との回答割合は12.1ポイント低下し、2~3年以内は13.5ポイント高まった。投資を先送りした企業が少なくないとみられる。
調査は7月中旬、取引先企業など225社を対象に実施し、172社から回答を得た(日本経済新聞 2019年8月27日)。
みなさんはどのような感想を持たれますか?
これまでの「人手不足感」が下がったのはなぜでしょうか?
私はふたつのポイントがあると考えます。
〇人手不足の恒常化
〇景気悪化と消費増税への懸念
特に後者は大きな問題となって中小企業に影響を与えることでしょう。
人手不足の恒常化について
静岡では、多くの中小企業で人手不足が恒常化しています。
人が思うように集まらない状態が続いています。
もはやハローワークや求人サイトに人の募集広告を掲載するくらいでは効果はほとんど認められません。
人が集まらないのは、景気がいいからだとは一概に言えません。
(有効求人倍率ももはや景気の良し悪しを判断する指標としては弱い実感があります。)
それは、人口減少の影響が中小企業により大きく及んでいるからです。
人がいないのです。
特に若者が少なくなっている実感があります。
人口減少がじわりじわりと中小企業にダメージを与えているのです。
人手不足の悪循環が認められる中小企業は少なくない
人手が欲しいのに人が集まらない状態が続くとどうなるでしょうか。
最悪は「人手不足倒産」に陥ります。
近年、人手不足が要因による倒産が増えています。
また、人手不足は業績が伸びているような企業において起こるためやっかいです。
人が増えないため、業績の伸びと比例して既存の社員さんへの負担が大きくなっていきます。
人を入れてじっくりと育てたいのですが、とても忙しいためその時間がなかなか持てません。
本意ではなくても、あたらしく入社した社員さんに対して研修期間もそこそこに大変な仕事が任せられてしまうこともあります。
そのため、せっかく入社した社員さんがついていけずにすぐに辞めてしまうケースも認められます。
結局、このような状態に慣れてしまった企業や今いる人財でなんとか乗り切ってきたという企業も少なくありません。
このような傾向は、人口減少が起きていない首都圏では考えられないことだと思います。
だからこそ、地方で起きている人口減少の問題は、我が国の最先端の問題だと思います。
このような状況から脱するためには、これまでの思考の癖・習慣・常識を1度捨てて、「人を大切にする経営」を実践することが求められます。
景気悪化と消費増税への懸念
上記に加えて、消費増税と景気悪化への懸念が大きくのしかかってきました。
少しでも出費を控えようとする意識が企業に働いています。
それが人手不足への意識低下に繋がっていると考えられます。
景気は確実に悪化していると実感している中小企業の社長や社員さんは少なくありません。
特に、10月から予定されている消費増税が先行きを不安にさせています。
2%のアップ分を商品やサービスの価格に転嫁しても、それはあくまでも消費増税分です。
その企業の利益にはならないのです。
本当の利益を出すためには、利益分も含めて価格を高めなければなりません。
しかし、消費増税分の値上げなのにも関わらず、お客様の理解が得られないことも多々あることでしょう。
これは消費者の立場からすると大きな値上げにしか感じられないからです。
消費増税分の2%を補うことは非常に困難です。
これは、経常利益率を2%高めることが至難の業であることを理解していればわかると思います。
だからこそ、人財が差別化を実現する経営をしていかなければならないのです。
そのために、中長期的な視点で人を育てていくことが求められるでしょう。
人財育成をより重視しましょう
静清信用金庫の分析では、企業の関心事は人財育成に移りつつあるとしています。
これはとても重要なことです。
商品・サービスの機能性で競い合う時代はもう終わりにしなければなりません。
機能性の象徴的な表現は「いいモノを安く」です。
「いいモノを安く」を競ってしまった結果、今の我が国の問題が噴出してきたのです。
これからは商品・サービスの情緒性で差別化を実現していくことが求められます。
それを実現するのは、企業にとってかけがえのない『人財』です。
どんなに不景気でも、どんなに価格が高くても、お客様から追いかけられるのです。
まとめですが、私は人口減少の問題が改善されない限り、地方において「人手が余る」という時代はもう来ないと思っています。
(企業がバタバタと倒産すれば別ですが)
だからこそ、これからの若者をどのように育成していくかが重要になってきます。
家庭教育、学校教育、地域の教育も今後ますます重要になってくると思います。
それぞれでの連携が鍵です。
同時に、私は大人の教育や学び直しもより大切なことになると考えています。
企業は人なりです。
「人づくり」を重視する会社が増えれば、多くの問題が解決されていくことでしょう。
いい世の中になっていくことを願っております。
大丈夫でいきましょう!