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雇い止めを生み出す制度自体を見直すべきでは?
トヨタ自動車の元期間従業員の男性が同社に対して未払い賃金や慰謝料を求める訴えを起こしました。
以下、情報源として日本経済新聞を引用いたします。
労働組合からの脱退を理由に雇い止めをされたのは不当だとして、トヨタ自動車の元期間従業員の男性(50)が18日までに、同社に未払い賃金や慰謝料など約320万円の支払いを求める訴えを名古屋地裁岡崎支部に起こした。
訴状によると、男性は2015年9月から期間従業員として工場に勤務し、6カ月ごとに雇用契約を更新していた。18年3月、トヨタ自動車労働組合(トヨタ労組)を抜けて別の労組に加入したところ、会社から「トヨタ労組をやめると期間延長できないルールがあり、契約を更新できない」と告げられ、同月末で退職した。
男性の代理人弁護士は「勤務態度に問題はなく、契約更新を拒む合理的な理由がない」と主張。過去の判例などを踏まえ、トヨタ労組を抜けたことを理由とした雇い止めは無効だと訴えている。
トヨタ渉外広報部は「事実関係を確認中です」とコメントした(日本経済新聞 2019年9月18日)。
みなさんはどのような感想を持たれますか?
報道が事実ならば、私は今こそ我が国全体で期間社員さんを生み出す制度自体を見直すべきではないかと思います。
この方は6ヶ月毎に雇用契約を更新をしていたそうです。
正直申し上げて、私ならば耐えられません。
よくモチベーションを保つことができたと思います。
この問題は我が国全体でもっと真剣に考えるべきだと思います。
雇い止めが発生するような有期雇用は我が国全体で考えなければならない問題
私は雇い止めを生み出すような制度自体に問題があると思っています。
この制度を進めた関係者の責任は非常に大きいでしょう。
これが我が国で賃金が高まらない要因にも、少子化の要因にもなっているのです。
老後手にする年金にも大きな影響を与えるのは必然です。
それにしても、私たちはいつの頃からか目先のことしか考えないようになってしまったのでしょうか?
一生懸命仕事をして認められなければ、どこにやりがいを見いだせばいいのでしょうか?
会社の都合で契約更新ができないということ自体あってはならないと思います。
会社に何かがあった時、その調整に社外社員さん等が使われることはあってはならないと思っているのです。
人件費はコストではありません。
社員さんのモチベーションを高めるために必要な経費なのです。
協力会社を大切にする社風は変わってはならない
トヨタに話しを戻します。
はっきり言います。
トヨタは社外社員さんを大切にしない会社ではありません。
トヨタは元々協力会社を大切にする会社です。
トヨタは協力会社を切るならばお前の腹を切れという社風の会社であることを私は恩師(弊社の顧問)から教えていただきました。
それがトヨタの強みを生み出していることも。
協力会社の社員さんは制服の色が違うだけなのです。
現在、その数は38,663社です。
もし、それが変わってしまったとしたら、品質に影響を与えることは当然のことです。
期間社員さんに対しても同じです。
トヨタの製品は契約期間が決まっている社外社員さんによって支えられています。
しかし、来月契約が切れる期間社員さんが今目の前の仕事を一生懸命行うでしょうか?
そこにプロフェッショナルイズムを求めることは大きな間違いだと思います。
トヨタイズムを大切に
先だって豊田章男社長は記者会見の際に、終身雇用が守られないかもしれないという発言をしました。
豊田社長は社員さんに対して危機感がない状態にならないで欲しいという意味で言ったと信じています。
トヨタの社員さんは常にこのままではいけないという危機感を持つことが求められるからです。
現状に甘んじず、「もっといいやり方ができるのではないか?」「もっと改善できるのではないか?」と常にいい意味で自分を疑うことが求められるのです。
トヨタは元々人を大切にする会社です。
時代がいくら変わろうとも、この部分は変わってはいけません。
それが変わるとすれば、「ものづくりは人づくり」というトヨタのイズムを否定するようなものです。
ジャスト・イン・タイムと人間性尊重の二本柱のひとつを否定するようなものです。
もし、この大切にすべきイズムが変わってしまったとしたら、元に戻すべきだと思います。
もはやそれはトヨタではないからです。
大丈夫でいきましょう!