「ベーシックインカム」と「首を切れない社員なんて雇えないですよ、普通」

  1. ワーク・ライフ・バランス 働き方改革

竹中平蔵氏・・・ベーシックインカムを将来の導入に備えて議論を進めるべきと主張

「成長戦略会議」のメンバーである竹中平蔵氏が「ベーシックインカム」について、共同通信のインタビューに応じました。

ベーシックインカムのポイントは次の通りです。

〇全国民を対象に毎月7万円を支給する

〇財源は生活保護や年金を縮小して充てる

竹中氏は、将来の導入に備えて議論を進めるべきだという考えを示しました。

以下、共同通信の記事を引用いたします。

菅義偉政権が新たに設けた「成長戦略会議」のメンバーで、慶応大名誉教授の竹中平蔵氏(69)が31日までに共同通信のインタビューに応じた。最低限の生活を保障するため全国民にお金を配る「ベーシックインカム(BI)」(最低所得保障)について、「将来の導入に備えて議論を進めるべきだ」との考えを示した。

竹中氏は9月下旬、BS番組に出演し、BIについて全国民を対象に1人当たり月7万円支給するよう提言。財源は生活保護や年金を縮小して充てるとした。菅政権のブレーンの一人として注目され始めた時期と重なり、波紋が広がっていた(共同通信 2020年10月31日)。

これはとても難しい問題です。

様々な疑問が浮かびます。

これまで納めてきた年金はどうなるのでしょうか?

厚生年金にはおよそ半額の会社負担分もあります(多くの方が見落としています)。

それらが戻ってこないことがないようにお願いします。

大いに議論をするべきだと思いますが、その前に平均賃金について述べる必要があると考えます。

私たち国民の賃金がなぜ高まらなくなったのか、その真因を徹底的に議論すべき

我が国において平均賃金は頭打ちの状態です。

残念ながら、全く高まっておりません。

以下のグラフは、厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』からのものです。

グラフから読み取れることは次の通りです。

〇男性の賃金は横ばいです

〇女性の賃金は高まっていますが男性とはまだ差があります

この平均賃金の推移は、我が国の低成長ぶりを示す重要な指標だと考えます。

働いている私たち国民の賃金がなぜ高まらなくなったのか、その真因を徹底的に議論すべきだと考えます。

それをせずしてベーシックインカムを導入することは賛成しかねます。

現在の経済状況でベーシックインカムを導入しても、それをあてにして賃金を低めようとする企業が続出するのではないかと思うからです。

簡単に、私が懸念していることは次の点です。

〇会社からの賃金がますます低くなるのではないか

〇それによって「いいものを安く」の経済が加速するのではないか

〇税金の負担がより大きくなるのではないか

〇経済成長がさらに困難になるのではないか

〇少子化が加速するのではないか

〇老後の不安がより大きくなるのではないか

繰り返しますが、我が国はなぜ賃金が高まらなくなったのかその真因を追求し改善を図るべきです。

これは我が国独特の「いいものを安く」をやめさせない限り、ベーシックインカムを導入しても機能しないと考えます。

正規雇用といわれているものは要するに首を切れないわけですよ

10月30日金曜日の夜にテレビ朝日で放送された「朝まで生テレビ」に竹中平蔵氏が出演されていました。

我が国の経済はなぜ成長しなくなってしまったのかという議論がされました。

さらに、新型コロナの影響で、派遣労働者として働いている方々が契約を打ち切られる事態が問題となっています。

その事に話しが及んだ時、竹中平蔵氏は「正規雇用は守られすぎている」とし、次のように持論を展開しました。

「日本で非正規がなぜできたかというと、正規労働が守られすぎているからですよ。」

「正規雇用といわれているものは要するに首を切れないわけですよ。
首を切れない社員なんて雇えないですよ、普通。
それで非正規というのをだんだん増やしていかなければならなかったわけです。」

竹中氏は、ついエキサイトしてしまったのかもしれません。

しかし、この発言に対して私は目の前が真っ暗になると共にとても悲しくなりました。

竹中氏の考えに賛同される経営者の方はいるでしょうか?

少なくとも私が日頃から良くしていただいている経営者の方々にはおりません。

もし竹中氏の発言に賛同される方は、はっきりと申し上げたいのですが、経営者としての能力に疑問を持たざるを得ません。

そのような方に人はついていかないからです。

そのような会社の生産性が高くなる訳がありません。

竹中氏の考えに対して、私は最も尊敬する経営者の言葉を投げかけたいと思います。

「正社員でない人間が真面目に技術を覚えようとするだろうか?」

これは「社員がいちばん幸せな会社」と言われている未来工業創業者、山田昭男相談役の言葉です。

私は我が国の大手企業が大きな過ちを犯したのは、非正規の社員さんたちに「プロフェッショナル」であることを当然のように求めた点だと思います。

来月契約が切れてしまう人が果たして目の前の仕事を一生懸命するでしょうか?

我が国が長い低迷に陥ってしまった原因は、人としての本質を無視した政策を推し進めたからなのかもしれません。

実際に成果が出ている国はあるのでしょうか?生産性を高めるためには?

我が国の経済がダメになった大きな要因として、非正規という働き方(待遇面で正規の方より劣る)をする人の割合が増えたことは疑いの余地がありません。

非正規の方が占める割合は年々増えて約4割です。

そして、GDP(国内総生産)の約6割が個人消費が占めると言われています。

上記の平均賃金で示したとおり、賃金が伸びないのに増税されれば可処分所得が減りますから、個人消費も減ります。

GDPも伸びません。

当たり前なのですが、非正規で働く方々の賃金が正規の方よりも高いのならば、これほどの問題にはなっていないでしょう。

実にシンプルです。

その後の番組の中で、竹中平蔵氏は賃金について次のように述べました。

「賃金を上げるためにはどうしたらいいんですか。賃金というのは労働生産性に対して支払われるのですよ。労働生産性を高めなければ賃金は絶対にあがらない。そのためには、労働生産性の低いところから高いところへお金や資源が移らなければいけないし、労働市場がもっともっと流動化しないといけない」

大変申し訳ないですが、なぜこれで労働生産性が上がるのか、勉強不足の私には理解ができませんでした。

また、先ほどと同じように目の前が真っ暗になり、大変悲しくなりました。

そして、ふと疑問に思ったことがあります。

世界の中で、竹中平蔵氏が言うようなことを実践し、実際に成果が出ている国はあるのでしょうか?

もし、成果が出ている国が存在しない場合は、申し訳ないですが「おやめください」と声を大にしていいたいと思います。

私たちが「実験台」にされてしまうようなことは決してあってはなりません。

生産性を高める方法

昨今、労働生産性という言葉が頻繁に使われるようになりましたが、低いところから高いところへお金や資源が移るだけでは決して高まりません。

労働市場が流動化しても高まりません。

生産性とは単純にアウトプット(産出)÷インプット(投入)で現されます。

「いいものを安く」をやってしまうと、アウトプットが頭打ちになり、インプットの効率化ばかりをするようになります。

インプットを効率化には限界がありますが、これぞ我が国の現状です。

だから、まず「いいものを安く」をやめなければならないのです。

そこに私たちの賃金ですら巻き込まれてしまったのです。

そして、もうひとつとても大切なことを述べます。

生産性は働く人のモチベーションによって高くも低くもなるという点です。

それについては「幸せな社員は不幸せな社員よりも生産性が1.3倍高い」という研究結果が出ています。

また、創造性も3倍高いのです。

これは机上の空論ではなく、研究によって明らかにされてきた「結果」です。

そして、人を大切にする会社が示してくれた「結果」です。

私たちが求めていくべきことはここだと思います。

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