国が企業に賃上げを要請するならば・・・いいモノを安くを規制し社会保険負担を減らしましょう

  1. ワーク・ライフ・バランス 働き方改革

「骨太の方針」

政府が経済財政運営の基本指針政府が9日示した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の原案を示しました。

東京一極集中を是正して地方に人材を呼び込むため、最低賃金の引き上げを行うことを地方創生の柱に据えたようです。

以下、時事通信社の記事を引用いたします。

政府が9日示した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の原案は、東京一極集中を是正して地方に人材を呼び込むため、最低賃金の引き上げを地方創生の柱に据えた。

新型コロナウイルス感染の収束後を見据え、日本経済の持続的成長を目指す狙いもある。ただ、コロナ禍の長期化で経営が厳しい中小企業からは、強引な賃上げは雇用を破壊すると反発が強まっている。

原案では最低賃金について「地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し、本年の引き上げに取り組む」と明記した。安倍前政権が進めた賃上げの流れを継続したい考えで、引き上げ幅は感染拡大前の2019年度まで4年連続3%以上という「実績」を踏まえて対応するよう求めた。

20年度の全国平均の最低賃金は902円。日本の水準が欧米と比べて低いことも早期引き上げの根拠に挙げた(時事通信社 2021年9月10日)。

ぜひとも進めていただきたいと思いますが、「おや?」と思うことがあります。

それは、賃上げについて具体的な案が示されていない点です。

そもそも、企業は利益がでなければ賃上げも容易ではありません。

政府からの要請があっても難しいのです。

賃上げは利益が出ているからこそ可能

私たちは考えなければいけません。

なぜ多くの企業で利益が出ないのでしょうか。

なぜ付加価値生産性が低いのでしょうか。

原因を究明するべきです。

それは、「中小企業だから」ではありません。

中小企業は生産性が低いと一言でかたづけられたらたまりません。

なぜ利益がでないのかについて、私自身の考えを述べます。

それは我が国が「いいモノを安く」という間違った価値観にとらわれてしまっているからだと痛感しています。

例えば、我が国では22%も原材料費が高まっているのに、最終財は0.5%の価格上昇で抑えられている状況です(2017年の統計)。

また、今年の4月から消費税込みの価格表示が義務づけられましたが、ユニクロ等はそれ以前と表示価格を変えないよう実質約9%の値下げを行いました。

これらのしわ寄せが価格決定権のある企業から協力会社に行っているとしたら?

それは絶対にしてはなりません。

「いいモノを安く」を追求すると、製造業ではつくってもつくっても利益が出にくい状態になります。

売上高は頭打ちになり、薄利多売の傾向が強くなり、「忙しいけれど利益がでない状態」が続きます。

しかも、良質で安価な商品が市場に余ってしまうという悲劇が生じます。

すると価格決定権のある企業はさらに価格を下げようとします。

協力会社にはさらなるコストカット要請があるかもしれません。

この悪循環が続きます。

この利益が出ない状況を改善しない限り、いくら政府が賃上げを要請しても実現しないでしょう。

政府が要請することは賃上げよりも、激しい価格競争を止めさせることだと思います。

なぜ我が国は生産性が低いのかについては、次の記事もご覧ください。

賃上げを妨げるもうひとつの大きな弊害・・・社会保険

賃上げを妨げるもう一つの問題、それは社会保険の負担額が企業にとって大きすぎるのではないかという点です。

みなさん驚くのですが、会社負担分の社会保険額は社員さんの給与明細には記されていません。

例えば、毎月約3万円の社会保険を支払っている方は、会社負担分をあわせると約6万円の社会保険を支払っていることになります。

大まかに会社側の視点で申し上げると、総支給額のおよそ1.15倍が本当の給料(人件費)です。

総支給額が200,000円の方は、230,000円が本当の給料です。

この15%(このケースでは30,000円)の負担は企業にとって、非常に大きなものです。

賃上げをすると社会保険もあがるため、想像する以上に資金繰りが悪化するおそれがあります。

だから、賃上げが難しいのです。

このことを政府も考えていただきたいと思います。

社会保険全体について見直すべきです。

実質賃金を高めることはもちろんのことですが、それが実現できない状況であっても可処分所得だけは増やすことができるように調整が必要だと考えます。

実質賃金が高まっていない現状では、税金や社会保険料の見直しをするべきでしょう。

これは少子化対策にも直結します。

子供を産み育てる世代が厳しい生活のままでは子供も増えていかないからです。

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